第20話なつやすみ

「トイレに行くときは よんでいいからね!


まめでんきゅうは つけてねて いいからね。」


そういってかあちゃんが へやからでていった。



「かずくん、こっちのふとんね。」


ぼくは じぶんのふとんの上にねころんだ。


かずくんも もうひとつのふとんの上にねころんで


「花火、たのしかったね!」っていった。そして


「まえに、テレビでみた。」といっておきあがって


ぼくにまくらををなげた。


「やったなー」ぼくもなげかえす。


ふたりでなんども まくらをなげっこした。


となりのへやから、


「しずかに~!もうねなさ~い。」ってかあちゃんのこえがした。


「ちぇ・・・」ざんねんにおもったら


かずくんがじぶんのふとんをうごかしてぼくのふとんにくっつけた。


「しずかにあそぼう。」


へやのでんきを小さくして タオルケットをかぶって


ねたままあっちむいてほいをしたり


きょうのバーベキューのはなしや やきゅうのはなしや


ゲームのはなしをたくさんした。


なんだかひみつきちの中みたいでわくわくした。



ぼくはいつのまにかねむってしまったみたいだ。


「・・・くん・・・・ま・・・くん・・・。」


かずくんが小さなこえでぼくをよんでぼくのうでをひっぱっていた。


トイレかな・・・。


かあちゃんをおこせばいいんだ・・・。


「トイレ?」ってきいたら


「・・・まーくんち・・・・・おばけいない?」ってかずくんがいった。


「・・・え・・・」


「・・・まーくん・・・おばけ・・・・こわい・・・。いっしょに・・・ねよ?」


そういってかずくんが ぼくのふとんの中にはいってきた。


かずくんはあたままですっぽりタオルケットにくるまるから


ちょうどぼくのおなかのあたりにかおがきてなんだかくすぐったい。


しょうがないから


ぼくもタオルケットに はいるようにして


かずくんのかおと ぼくのかおのいちが あうようにした。



かずくんはこわがりだから・・・。



「かずくん、ぼくんちにおばけいないから。」


ぼくはそういって


まるくなるかずくんのせなかをなでた。


かずくんはぼくのうでをぎゅってつかんでいる。


「だいじょうぶだから・・・。」


こんどは


かあちゃんがおとうとをねかすときみたいに


かずくんのせなかをトントンした。



かずくんっておとうとみたいだ・・・・


かわいいな・・・。



そうおもいながら


ぼくはだんだんねむくなって


かずくんをだくようにしてねむった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る