第17話 あめのまえあめのあと
さとちゃんと手をつないだまま
ずっと雨のおとをきいていた。
すこし
雨のおとがしずかになった。
「雨、もうすこしでやむかな?」さとちゃんがいった。
「どうする? 雨やむのまってる?それともはしってかえる?」
またさとちゃんがいった。
「・・・・はしってかえろうか・・・。」
ってぼくはへんじした。
ぼくは
まーくんちへはしっていってまーくんにあやまろうとおもった。
きらいっていってごめん、
しねっていってごめん、
つちなげてごめん。
ぼくはこれからもずっとまーくんといっしょにあそびたい。
じゃあね、またあしたね。
そういって
トンネルからでようとしたとき
「・・・・かずくーん、さとちゃーん。」っていうこえがきこえた。
まーくんだ!!
まーくんのこえだ!!
さとちゃんが「まーくーん」ってよんだ。
ぼくも「まーくーん」ってよんだ。
まーくんは
かさをもってきてくれた。
おおきなくろいかさと ちいさなあおいかさ。
おおきなかさは おとうさんのかさで
ちいさなかさは おとうとのかさだって。
まーくんは じぶんのかさをとじてトンネルに入って
ぼくのとなりにすわった。
「かずくん、きょうはごめんね。かさもってきたからゆるして。」
まーくんが ふつうにいつもみたいに そういったから
ぼくはちょっとあわてて
「ありがとう」っていった。
ほんとうは、ごめんっていいたかったんだけど
まーくんがさきにごめんっていったから、ぼくはどういっていいのか
すこしまよって、ありがとうになった。
ぼくたちは かさをさしてかえりみちをあるいた。
ぼくがちいさいかさをさした。
だけどかさはちいさすぎて
雨はすこししかふっていにのに
ふくもズボンもぜんぶぬれちゃう。
さとちゃんが大きいかさをさしたけどグラグラゆれてる。
まーくん、だめじゃん、こんなかさ!・・・っていつもならいうんだけど
せっかくまーくんがもってきてくれたかさだから
だまってさした。
だってうれしかったから。
「かずくん、ぬれてるよ。いっしょにこっちにはいろう。」
さとちゃんがいってくれて
ぼくはさとちゃんのさしている大きなかさにいっしょにはいった。
まーくんが「やっぱりちいさすぎたか」っていった。
まーくんは
こうえんにいこうかどうしようかまよったけど
あめがふったから
かさをもっていくことにした、といっていた。
雨の中 かえるぼくたちとすれちがわなかったから
ぜったいまだこうえんにいるとおもったんだって。
「でも、オレたちがどっちかのいえにいったかもしれないじゃん。そしたらあえなかったよ。」
ってさとちゃんがいったら
「あーそうだね!」ってまーくんが大きなこえでいった。
「でもあえてよかった。」っていってわらったから、
ぼくもさとちゃんもわらった。
すこしあるくと
雨がやんだ。
「にじだ!」まーくんがいった。
すごくきれいなにじがでていた。
ぼくたちはかさをとじてにじをみた。
「にじのねもとまでいってみたくない?」
ってあるきながらさとちゃんがいった。
まーくんは「いこう!」っていったけど
ぼくが
「やだよ、まいごになるもん・・・。」っていったら
まーくんが
「かずくんは、こわがりだもんね。」っていった。
「こわがりじゃないもん!」ってぼくはまーくんをぺしってたたいた。
そして
「ごめんね・・・」っていった。
まーくんがにこっとわらった。
ぼくはすごくうれしかった。
まーくんがきてくれてよかった。
まーくんがいつもどおりでよかった。
ぼくは
まーくんとさとちゃんが一ばんだいすき。一ばんのともだち。
「にじのうえはほんとうはあるけないんでしょ?」
「そうだよ、あれはただひかりがみえてるだけだからね。」
「だからすぐきえちゃうんだ?」
「だけどねもとはあるの?」
「あるよ!だからにじのはしっていうんでしょ?」
にじがどんどんうすくなってきた。
「いつかにじのねもとにいってみたいね。」
「かずくん、いける?」
「ぼくだって大人になったら、いけるよ。おとなになったらまいごにはならいもん。」
「そんなにまつの?」
「つぎににじをみたらすぐいこうよ。」
ぼくは すごくいいきぶんだったから、
「わかった、つぎのにじのときね。」
ってはりきっていった。
さとちゃんとまーくんといっしょなら
なんでもできるし
いつもたのしいことしかないんだから。
ぼくたちはうすくなっていくにじをみながら
3にんでならんでかえりみちをあるいた。
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