第13話 ずる休み

オレとかずくんは またベッドによこになった。


となりのベッドとのあいだのカーテンは


あけられたままだったから


オレはねているかずくんがよくみえた。


かずくんがオレのほうをむいて


ちょっとわらってくれたから


ホッとしてオレもわらった。


カーテンがしまってなくて


ふたりでならんでねているのが


なんだかうれしかった。



オレはかずくんにやさしくしたくて


きっと手をつないだらかずくんはよろこぶだろうとおもったけど


ベッドがはなれてるから


てをつなぐことはできない。


だからオレはかずくんのかおをみるだけ。


かずくんはめをつむった。


オレはずっとかずくんのねがおをみていた。



すこしすると


ろうかをはしるあしおとがきこえて


あしおとがとまったら


そーっとほけんしつのドアがひらいた。


まーくんだ。



「かずくん、だいじょうぶですか?」


ほけんの先生にきいている。


まーくんのこえをきいてかずくんがめをあけた。


「まーくん・・・。」


かずくんが小さなこえでまーくんをよんだ。


「かずくん、だいじょうぶ?なおった?」


まーくんがかずくんのそばにきてきいた。


そして、おれのほうをむいて


「さとちゃんもなおった?」


っていった。


かずくんが


「ぼく、なおったから、きょうしつにいく。」といっておきあがった。


「オレも!」オレもあわててとびおきた。




オレとかずくんとまーくんは三にんできょうしつまでもどった。


ろうかをあるくかずくんは


すっかりげん気になっていた。


ほけんの先生がいうとおりおなかがすいてただけみたいだ。



だけどかずくんが


「これは、きっと、さくらのきの のろいだよ。だから ぼくもさとちゃんも、ぐあいがわるくなったんだ。」


ってちょっとこわそうにいった。


「のろい・・・?」


まーくんもしんぱいそうにきく。


「ぜったいそうだよ。うんどうかいのれんしゅうで さくらの木の下にいくことがおおかったから。さくらの木がぼくたちをねらってるんだ。まーくんもきをつけたほうがいいよ。」


しんけんなこえでかずくんがいうから


オレも


「そうだね、まーくんもきをつけて。」


っていったけど


そうじゃないよ、かずくん。



だって、オレがおなかがいたいのは、うそだから・・・・。



かずくんをこわがらせて


ほんとうにわるかったとはんせいした。



そしたらまーくんが


「かずくんはこわがりだからね。


ぼくは ぜんぜんこわくないし、だいじょうぶ。


かずくんになかかあったら、ぼくがまもってあげるよ。」


ってすごくかっこいいことをいった。


それをきいて


「だって、まーくんは白ぐみじゃん・・・。」


ってかずくんがすこしざんねんそうにいったから


オレはおもわず


「じゃあ、オレがまもるよ。かずくんとおなじ赤ぐみだから。」


っていっちゃった。


いってから、きゅうにはずかしくなったけど


「ほんと!」


かずくんがすごくうれしそうにいったからオレもうれしくなった。



それから


オレは体いくのずる休みはしていない。


かずくんは


さくらの木ののろいをしんじているんだ。


ごめんね


かずくん・・・。


きっとオレのせいだよね・・・。


だからオレは


さくらの木からかずくんをまもるよ。



かずくんをまもるしめいをもったオレは


うんどうかいのれんしゅうがそんなにいやじゃなくなった。



うんどうかいまで


オレはかずくんたちといっしょに


はしったりダンスしたりたま入れしたり


かずくんといっしょに


れんしゅうすることがたのしくなった。


うんどうかいがとてもたのしみだ。



そして


うんどうかいがおわっても


オレはずっと 


かずくんをまもるにんむについていたいな・・・とおもった。





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