赤口に、大渓谷を射た

 枕時計が「朝の8時」を示していた。洗顔後、身支度を整えた。バルコニーに行き、物干し竿をかけた。施錠後、一週間分の衣類を担いで、近所のコインランドリーに向かった。先客数名。空いているマシンに衣類を放り込み、粉末洗剤を撒いた。扉を閉め、洗い方を選んだ。指定金額投入後、始動ボタンを押した。所要時間は約30分。


 家に戻り、脱水ものを竿に吊るした。台所に行き、電気ケトルにミネラル水を注いだ。沸騰後、インスタントコーヒーを淹れた。ガーリックフランスなるものを齧りながら、熱いやつを飲んだ。居室に二杯目を運んだ。ニンテンドーDSの電源を入れた。ファイナルファンタジーⅣの続きを始めた。

 遊撃隊は最終迷路「月の地下渓谷」に駒を進めた。非常に厄介だ。複雑な構造に加えて、魔軍の主力部隊が牙をむいて襲いかかってくる。メンバー全員がレベル80台に達していると云うのに、難戦の連続である。ともあれ、同ダンジョンのどこかにある筈のセーブポイントを見つけ出したい。攻略の拠点が欲しい。


☖エッジ〔忍者・レベル80〕HP4348/MP290/きくいちもんじ✕2

☖セシル〔聖騎士・レベル88〕HP5023/MP380/武器:ディフェンダー

☖カイン〔竜騎士・レベル82〕HP4402/MP89/武器:ひりゅうのやり

☗ローザ〔白魔道士・レベル86〕HP3403/エルフィンボウ&アルテミスのや

☗リディア〔召喚士・レベル86〕HP3346/MP642/ほしくずのロッド


 DSの電源を切り、愛機を起動させた。メクるを呼び出し、草小説の修正と編集を行った。我がダサク『スライムの夜』の続篇である。主人公、源(みなもと)シオールは「最大級のナルシスト」という設定である。考えてみれば、シオールとのつき合いも長い。十年以上になるのではないか。

 シオールは、俺が活劇をやる際、なんらかの形で登場している。と云うか、させている。一応、正義の味方に属するが、アンチの匂いを漂わせるキャラクターにしたかった。元々、自己陶酔の傾向があったが、今回はそれを可能な限り増幅させてみた。結果、戦闘天使ルシファーに変身を遂げてしまった。予想外の展開であった。筋を考えずに書き出すと、途中で話が破綻する場合があるが、時々、突飛な発想を得ることがある。創作はそこが面白い。〔26日〕

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