友引に、荒廃を射た

 枕辺のアナログ時計が「朝の7時30分」を示していた。洗顔後、台所の電気ケトルにミネラル水を注いだ。沸き立ての湯で、即席コーヒーを淹れた。TBSラジオの『スタンバイ!』を聴きながら、熱いやつを飲んだ。ニッポンのモラル崩壊は、俺が認識している以上に進んでいるようである。ここまで酷いとは思わなかった。末世である。


 二杯目のコーヒーを居室に運んだ。座りざまに、もうひとつの愛機、ニンテンドーDSの電源を入れた。ファイナルファンタジーⅣの続きを始めた。主人公の役割が〔暗黒騎士〕から〔聖騎士〕に変わろうとしている。個人的には「ずっと暗黒でいたい…」のだけど、そうもゆかぬようなのだ。その条件を満たすために「試練の山」と呼ばれる山に登る展開になってしまった。道連れは、双子のジャリと娘の仇討ちしか頭にないじいさんである。

 悪霊やら死霊やらを成仏させながら、山頂を目指す。主人公の愛剣、デスブリンガーは「即死機能」を帯びた闇塚好みの武器だが、聖騎士に変身した後は装備不可能になるだろう。まったく惜しいことだ。


☖セシル〔暗黒騎士・レベル31〕HP958/MP84/武器:デスブリンガー

☗パロム〔黒魔道士・レベル24〕HP554/MP210/武器:アイスロッド

☗ポロム〔白魔道士・レベル24〕HP529/MP192/武器:いやしのつえ

☗テラ〔賢者・レベル25〕HP522/MP90/武器:いやしのつえ


 DSの電源を切り、身支度を整えた。施錠後、自室を離れた。数日分の衣類を担いで、近所のコインランドリーへ向った。夏休みの初日から、洗濯などやりたくはないが、強力な台風が近づいている。雑用の類いは、なるべく今日の間に潰しておきたい。ランドリー到着。清掃おばさんが独自の奮闘を繰り広げていた。空いているマシンに担いできたものを放り込み、持参の粉末洗剤をそれらの上に撒いた。コイン投入後、始動ボタンを押した。


 自宅に戻り、バルコニーの物干し台に脱水ものを吊るした。その後、再び外出した。駅前の商店街にある中華料理屋に入った。カウンター席に腰をおろし、ランチを注文した。料理ができるまでの間、壁際に設置されているテレビを眺めた。映像は鮮明だが、音声がまったく聴こえないので、内容の理解は困難である。

 食後、近傍の両替屋(銀行)に行き、生活費を補給した。デパートの食品売場に行き、欲しいものを篭に入れた。各レジに行列ができていた。〔10日〕

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