先負に、食通を射た

 食後、テーブルの上を一旦片づけた。その後、氷水に沈めておいた缶入りハイボールを取り出し、封を切った。呑みながら、原作久住昌之、作画谷口ジローの『孤独のグルメ』(扶桑社文庫)を再読した。

 グルメという言葉には、未だに馴染めないし、好きにもなれないが、それは俺の個人的な感覚であって、萬画の内容にはまったく関係ない。この作品の存在を知ったのは、松重豊主演のドラマ版…だと思うのだが、雑誌掲載時の原作を先に読んだような気もする。どうも記憶が曖昧である。


 読後、洗面所に行き、歯を磨いた。居室に戻り、円盤(DVD)プレーヤーの電源を入れた。自動的に仲代達矢主演のドラマ版『砂の器』(3枚目)の再生が始まる。鑑賞後、機械の電源を切り、布団に潜り込んだ。


 翌日(つまり今日)の朝が来た。枕時計が「7時」を示していた。洗顔後、台所に行き、湯を沸かした。最後のクッキーを齧りながら、インスタントコーヒーを飲んだ。その後、身支度を整えた。一週間分の衣類を担いで、近所のコインランドリーへ向った。

 店内はガラガラに空いていた。使用料が一番安いマシンに担いできたものを放り込んだ。その上に粉末洗剤を撒き、機械の扉を閉じた。指定の金額を投入し、スタートボタンを押した。所要時間は約30分。


 洗いが終わるまでの間、店内の本棚に並べてあったラーメン屋さんのガイドブックを読んだ。2年前に出版された本である。一軒だけ、俺の行ったことがある店が紹介されていた。だが、同店は昨年閉業し、今はまったく違う料理の店になっている。

 我が町の飲食街は競争が激しい。勝ち残るのは並大抵のことではない。国民食とさえ云われるラーメンである。尚更厳しいと考えられる。


 洗濯完了。脱水衣類と脱水ジーンズを袋に詰め、それを担いで、店を出た。横断歩道を渡り、車道沿いに伸びる道を歩いた。頭上に青空が展開していた。帰宅後、バルコニーの物干し台に脱水ものを吊るした。〔11日〕

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