1.お姫さまは話を聞かない
第2話 ファッションセンスを磨こう
朝食後、オレは村外れで手頃な空きスペースをみつけた。
「ここでいいか……。〈ソロ
スキル〈ソロ
今回は
例えば、戦士や僧侶だったら、仮にレベル99になったとしてもこうはいかない。戦闘や回復のエキスパートも、建築では素人だからだ。
万能と言われる勇者だって、さすがにそこまではカバーしてないだろう。
しかし! オレの
クラスチェンジすればするほど、
『
『
『
『
こんなに切なくなるクラスが他にあるだろうか?
いや……、それがこの村のためになるんだ。この力は、こんな時のためにあったんだと信じよう。
「ソロ
この周辺で活用できる資源がないか、とりあえず100人の調査隊を送りだす。
もちろん、ぼっちだから移動魔法だって操れる。100人が次々に飛びだしていった。
しばらく館で待ってると、続々と、採取サンプルや調査報告が届きだす。
「ソロ
いままで全く活かす機会がなかった学者の力を、はじめて使用してみる。村のためにも、なにか新しい食材を見つけるぞ!
コンコン。誰かが館の扉を叩いた。
……見つけるぞ!
コンコン。誰かが館の扉を叩いた。
なんだよもう、せっかく人がヤル気になってたのに。まあ、いきなりこんな館が現れたんだ。不審に思った村人かもしれないし、
「はい、何ですか?」
仕方なく戸を開けると……。
なんとも眩しい美少女が、作り笑いで立っていた。いや、比喩とかではなく……。
ジャラジャラしたアクセサリーで目がチカチカする。ゴテゴテのド派手なドレスも情報爆発おこしてるし、厚化粧も頂けない。
せっかくの美少女が……。
穏やかに広がる草色の瞳。すっと伸びる鼻は村の霊峰。唇は野に咲くナデシコみたい。ちょっと地味だけど暖かい、文句なしの美少女が……、台なしだった。
「ロアン・ソロウさまとお見受け致します」
あっ、これ100%厄介ごとだっ。
「いえ、人違い……っ!?」
いきなり斬りつけてきたっ!? ドレスの下に剣を隠してたのか? 抜刀し彼女の剣を受けながら、
「人違いだって言ってるだろっ!」
「問答無用っ!」
じゃあなんで挨拶してんだよっ! あー、もうっ!
「ケバい厚化粧に、暑っ苦しい野暮なドレス。悪目立ちのアクセサリーまでぶら下げて剣を隠すとは。女を捨ててまで勝負に挑んだ覚悟に報いよう! 確かにオレはロアンだ。さあ貴殿も名乗りをあげ」
プチッ。
「プチッ??」
あれ? 彼女が耳まで真っ赤に燃えあがらせて、オレを睨みつけてるんだけど? まあ半べそかいているのでむしろ愛らしくすら……、じゃなくて。
もしかして、それが自慢の勝負服だった、みたいな?
「貴方が
わなわなと体と声を震わせながら、なかなか話のわかることを言う彼女。
「じゃあ、見逃して頂けると言うことで……」
「絶対許さないっ!!」
ですよねー。うん、この流れで和解できたら逆にオレがキレてもいいわ。なんてアホなことを考えるうちに、
「
ヤベっ、この子マジだよ。せっかく造った館を壊されるのはご免だぞ。彼女が技の溜めに入る隙を逃さず、
「っ!?」
両手で彼女の肩を掴んで、
「なんなの? この私がまるで子供扱いじゃない……」
「君に恨みがあるわけじゃないし、力の差がわかったら、大人しく帰ってくれよ」
「思いあがらないで、私にはまだ切り札があるんだから!」
言うが早いか、彼女は目がチカチカする宝石類を、次々に発動させていく。あ、一応マジックアイテムだったんだ、それ。
大人しく帰って欲しいなぁ、なんてオレの思いをよそに。彼女は更に、ありったけの姫スキルを重ねがけすると、
「避けたら貴方のお
「なんて悪役ゼリフ」
「うるさい!
まあ最初から避ける気なんてないけど。彼女の斬撃から生みだされたエネルギー波を、デコピンで空に弾く。それを見て、茫然自失ってこんな感じなんだなぁってくらい見事に固まる彼女に、
「動きがいいからレベル80くらいに見えたけど、中位技どまりじゃ話にならないよ」
ここまで差を見せれば大人しく帰ってくれるはず……。なのに彼女は、力なく地面に座りこむと、
「くっ、殺しなさい……っ」
くっころキターーーー!! じゃなくて、帰ろうよ! なんで意地でも帰らないんだ!?
なんで腕を押さえるの? 痛めちゃった? でもそれ自爆だからねっ?
腕に挟まれ、おっぱいがプルンっと盛りあがっても、オレが盛りあがったりは……
じゃなくて、どうしたら帰ってくれるのこの子?
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