怨嗟の炎⑤
伸ばされた手は、小さなもの。
与えられたぬくもりは、決して知りえなかったはずのもの。
耳朶に触れる声が紡ぐ名は柔らかに響き、羽毛のように軽く、されども着実に降り積もってゆくものがある。
憎しみを抱いて生き、恨みに満ちた者には、決して届くはずのない光。
そうして、名もない感情は膨れ上がり、じくじくと胸中をあたたかなもので満たしていく。
共に過ごす時間は儚く、脆く。
それゆえに、永遠であった。
なればこそ、少年たちは知らないのだ。
――いつか迫り来る、怨嗟の炎を。
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