深夜のスポーツジム

 最近は二十四時間営業のジムがある。店員はまったく不在であり、会員が勝手に運動して帰る感じだ。

 すでに深夜の二時くらいになっているが、眠れないので近くのジムで運動することにした。明日は祝日なので多少の夜更かしも大丈夫だ。

 歩いて五分くらいの場所のジムで、ちょっと行って帰ってくるのはちょうどいい。確か元々コンビニだったが潰れていつの間にかスポーツジムになっていた。

 時間が時間だけにジムには誰もおらず、ふと見ると戸棚に水筒や着替えなどが置き去りになっていた。戸棚は施錠はできずフリースペースとなっている。

 ハンガーにも黒いコートがかかっていた。トイレや更衣室など室内を覗いてみたが誰もいない。トイレは男女兼用なので人がいないことは間違いないだろう。

 誰かが忘れたのだろうと思い、念のためにスマホで撮影しておく。

 それから、筋トレを三十分ほど行って、持ってきた水筒で喉の乾きを潤した。

 そろそろ引き上げようと、スマホを取り出しアプリで退出の手続きをしようとした。無人なのでスマホのアプリで入退出の管理を行うのだ。ふと見ると、戸棚の荷物が消えていた。ハンガーにかかっていたコートもない。

 見間違えかと思ったが、先程撮影した写真にはコートが写っている。

 背筋が寒くなってきた。慌てて扉をくぐりジムを出る。背後から物音がした。こちらに近づく気配を感じる。振り返らずにジムから立ち去った。

 ジムを退会しようか悩んだが、家の近くで便利なので続けることにした。ただ、少なくとも深夜には赴かないことにしている。

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