ぱぱぱ、ぴっぽぱ ぱぱーぱー

 仕事中にパソコンで書類作成の入力作業をしていたときだ。半ば自動的にカタカタとキーボードをたたく。昼休みで重い昼食をとって眠気が襲ってきたころくらいだろうか?

「ぱぱぱ、ぴっぽぱ ぱぱーぱー」という謎の音が頭に浮かび上がってきた。どこかで聞いたフレーズがふと思い出されたのか、よくわからない。

 頭に浮かんだだけなので、実際に聞こえたわけでもない。

 どうでもいいと忘れてもいいが、妙に気になって仕方ない。

 仕事を終えて帰宅途中にも、そのフレーズが頭に繰り返して流れている。口笛で曲が検索できるソフトがあるので、調べてみても見つからない。


 休日にも相変わらず、曲が頭にながれている。

 街中を歩いていると「ぱぱぱ、ぴっぽぱ ぱぱーぱー」という声が聞こえてきた。

 思わず振り返ると、年は定年を迎えたくらいだろうか、やや肉付きのいい男性が、こちらに近づいていた。

 「ぱぱぱ、ぴっぽぱ ぱぱーぱー」

 周りを見渡すと、女の人、子供と全員が一斉に「「「ぱぱぱ、ぴっぽぱ ぱぱーぱー」」」

 といいながら、近づいてきた。

 悲鳴が上がる。意識が暗転した。


 気が付くとベッドに寝かされている。消毒液の匂いから病院と分かる。

 近くにいた看護師が「気が付かれましたか?」とこちらをのぞき込んできた。

 なぜか、その看護師が「ぱぱぱ、ぴっぽぱ ぱぱーぱー」と言い出すのではという恐怖が襲ってきた。

 そうなったら、正気を保てるかどうか自信がない。 


 


 

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