人間という証明

 職を失って色々就職先を探していた。とにかく書類選考で落ちることを繰り返していると、誰もが知ってそうな大手の書類選考が通ったので面接をということになった。

 オンラインでもいいようだが、会社の雰囲気を見るということで、対面の面接ということになった。

 自分一人に対して、数人という形の面接で、二十代くらいの若い人から、五十代くらいの人もいて、質問に答えるという形になった。

 面接の質問にはいい感じで答えることができ、感触もよさそうだ。そろそろ面接も終わりだろうかと思えるところで、五十代くらいの面接官が「あなたがロボットでないことを証明してください」

という奇妙な質問をしてきた。

何かの引っ掛け問題だろうか? 変な質問だが、これに答えられたら合格の可能性も高い。

 しばらく考えて思いついたのは、少し痛いが首筋にシャーペンをさして、わずかに、血をだしたらいいということだ。

「簡単に証明できます」と自分が答え、頸動脈を避ける感じで黒いシャーペンの芯を針のように刺した。

 カチリと硬い音がした。血は出ない。

「あなたはロボットのようですね。これはチューリングテストの一巻なのですよ」

 実験はここで終了のようだった。


 

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