ちょっと奇妙な話集

理想的な宗教

　自分は長く無神論者だった。というのも宗教は大体同じものに見えて仕方なったからだ。

　街を歩いているとよく勧誘されるが、しばらく話を聞いて去ることが多かった。大体同じことをいうのでつまらなかったのだ。

　お金もそこそこ儲かり、特に人生にも問題がない。いくら悩みを聞いてもでてこない。

　そんな時に奇妙な宗教に出会った。ある日、迷惑メールが送られてきて知った宗教だ。

　月に一回教徒が集まり、笑顔を見せあうというだけの変な教義で、月に十万円というお布施を払う必要がある。

　聞いたこともない教義なので、面白そうなので入信してみた。最初は実際会っていたが、そのうち、オンラインでカメラ越しに笑顔を見せあうだけになった。

　特にご利益もない。なかなか意味がわからないがそんなものだろうと思って続けていると、だんだんカメラ越しに会うだけでも面倒になってきた。

　ということでその宗教はやめることにした。特に止められることもなかった。

　次に入信したのは、ボタンだらけの真っ黒いページを開き、上からクリックしていくだけという教義で、何かあるわけでもない。これも迷惑メールで通知されてきた宗教だ。

　同じく月に十万円を銀行振り込みでお布施する。

　しばらくつづけたが、それも面倒になってきて、やめることにした。やめるといっても、お金を振り込まなくなっただけで、勝手に除名されるようだった。

　やはり自発的に探す方がいいだろと思い、ネットをいろいろさまようと、見つけたのはお金振り込み教という教団で、ただお金を振り込むだけだった。

　これはいい。なんと楽なのだ。

　迷わず入信し、今も信者でいる。