青と白の波のようなストライプのシャツ
今まで着ていたシャツの袖が破れてしまったので、新しくシャツを買うことにした。行きつけの店で物色すると二割引きのシャツを見つけた。
手持ちのお金も少ないので、割引の値札をみて何も考えずに購入した。青色のシャツだ。サイズもあっている。
次の日、買った新しいシャツを着て出勤した。
職場のデスクに座りパソコンに向かうと天井の光が青いシャツを照り返す。
白と青のストライプのシャツは、光を照り返していた。白い線と青い線がなぜか歪んで見える。線が波打つような違和感に襲われた。
目の奥がチカチカし、わずかに吐き気がした。何故か目をシャツから離せない。波のように青と、白の線はよどみ、揺蕩う。さながら海の波をみているようだ。
気分が悪くなり、今日は早退することにした。上司に病院に行くと告げ、会社を出る。
シャツの線のゆがみはさらに強くなった。早くこれを脱いだがいい。
耳鳴りか、波の音が聞こえてくる。
シャツの模様は高波のように波打っていた。見ているだけで吐き気がする。病院に行くべきだろう。
しかしその前にこのシャツを……。
コンビニで替えのシャツを買うと、駅の改札をくぐりトイレに入る。個室に入ってストライプのシャツを脱いだ。ぐにゃりと景色が歪む。
シャツから現実に侵食した白と青のストライプは、轟音とともに津波となって自分を押し流した。潮の匂いとともに、水が口の中からになだれ込み肺をいっぱいにした。
※
腹痛に耐え切れずトイレに駆け込んだ男は、入った個室が水浸しなのと、潮の匂いがしたのを不審におもった。ふと、目を下に落とすとトイレの床にはなぜか水浸しの真っ白のシャツが落ちていた。
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