嫌な友達申請

 某SNSは現実に面識がある人物を友達として登録する前提となっている。

 昔、職場で当時仲が良かった人がいて、休日に遊びに行ったりしていた。

 とある出来事がきっかけで、そいつとは仲たがいしてしまった。出来事自体は大したことではなく人にしゃべればなんだそんなことかというほどのことだった。

 しかし、そいつは精神的にダメージをうけたのか、仕事でミスをしてしまい、部署に大損害を与えてしまった。

 懲戒免職とまでいかなかったが、別の僻地の一人部署に飛ばされてしまい、しばらくして会社を辞めてしまった。

 知人に聞くとそいつは自分をかなり恨んでいたらしい。

 

 当時、某SNSはサービスを始めたばかりで、自分もとりあえずアカウントを作ってみた。

 その日、すぐに友達申請が来た。まるで聞いたことがない名前で、写真もない。

 しかし、登録されているメールアドレスはそいつが使っているものだった。

 実在する友人ということで、しばらく迷って申請を承認した。

 しばらくして、そのアカウントから、『勝手に友達申請を許可しないように』というメッセージが届き、悪口雑言がかきつづられていた。

 さらに、突然ブロックされてしまった。

 

 話はそれで終わらず、別のSNSでアカウントを始めると、必ず謎のアカウントから友達申請がくる。

 メールアドレスだけは同じ。次の日、『勝手に友達申請を許可しないように』というメッセージが届き、悪口雑言がかきつづられてブロックされる。

 アカウントを消して新しく作り直しても同じだった。


 いい加減、嫌気がさしてきたので、そのメールアドレスに抗議文を送るがなしのつぶてだった。

 業を煮やしてそいつに直接電話すると、まったく連絡がつかなかった。

 そいつのアカウントからはブロックされているので、知人に覗いてもらうことにした。何か情報がつかめるかと思ったのだ。

 しかし、そんなアカウントは存在しなかったという。

 相変わらず新しいアカウントを作ると、そいつから友達申請が来てブロックされるが、一体こいつは何者なのだろう。

 恨みだけがネットの中を徘徊しているのだろうか?


  

 

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