　台所の蛇口の調子が悪いのか水がいつも滴り落ちている。きつく蛇口を閉めるとクルクルと空回りし始めてしまった。

　本格的に壊れてしまったようだ。そのうち修理しないといけないと考えていて数日たった。

　無理やり押さえつけて蛇口を閉めると、水の滴りが止まったので修理しなくても何とかなりそうだ。

　出勤前に蛇口を無理矢理閉めて、夜に帰るとまた水が滴っている。無理やり固く蛇口を閉めた。

　朝見ると水が滴っている。ポトポトと水滴が流し台に落ちていた。

　休日ということで、意を決して修理することにした。水道の元栓を閉めると、蛇口を外しにかかった。

　接続部分のナットをスパナで緩めていくと、蛇口が震えだした。蛇口から白いミミズのような生き物がはい出してきて、素早い動きで排水溝に潜り込んでいった。長さは一メートルくらいはあっただろうか。

　目もない不気味な生き物だ。どうやら元栓を閉めているため、排水側にしか移動できなかったようだ。

　寒気がする。次の更新月は半年後だが、それを待たず、このアパートを解約することにした。

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

新規登録で充実の読書を

マイページ: 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる; 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める; フォローしたユーザーの活動を追える
通知: 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴: 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい