欠損している巻
100年前くらいの有名な作家の本は、全12巻だが奇妙な都市伝説があった。
なんでも全巻揃えようとすると11巻だけ集まらない場合があり、そこでやめておけばいいが、無理に全巻入手し読んでしまうと恐ろしいことになるという。
つまらない都市伝説だ。ネットでその本を調べると確かに11巻だけどのネットショップでも売っていない。出版社のサイトでその本を調べるとどうやら発行部数がすくないため入手が難しいとのことだ。
セット販売でも11巻だけない。中古で見かけても11巻は定価の200倍という値がついている。200倍という値段に購入を逡巡していると次に見たときには売り切れていた。
どこを探しても11巻は見当たらないが、11巻以外はあっさり集まった。
11巻以外はすべて読み終え、いいところで話が途切れているのでどうしても11巻がほしくなった。
色々探しても見つからなかったが、ふとよった古本屋で11巻をみつけた。店主は本の価値をしらなかったようで、定価のままだった。
迷わず買うと帰宅して読んでみる。満足できる話だった。何か恐ろしいことが起こるというのは都市伝説だったようだ。
本棚に購入した本をすべて並べる。……9,10、12。確かに全巻そろっている。
何かがおかしい。念のために1から数を数えてみた。1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、13……。
問題ない。どうやら、おかしいのは気のせいだったようだ。
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