帰り道は……

 出張で田舎に行った時の話だ。

 山中にある事業所に赴き、一日仕事を終えた帰り道、バス停に戻っている最中、見知らぬ女性が急に背後から話しかけてきた。年齢は三十位、こんな山中に何しに来ているかはわからない。聞くとなんでも道がわからなくなったので一緒に帰っていいかという問いかけだった。

 どこに行くかと問うと、近くの駅にいくらしい。ただこの近くに駅などない。バス停に向かうとと告げると、えっという顔をして、急に離れていき消えた。

 目の錯覚かと思ったが、記憶に女の姿は残っている。もしかして、駅に向かうといえばどうなっていたのだろうか?

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