五章

自動いいねツール

 最近のSNSにはいいねをつける機能がある。フェイスなんとかが最初だったと思うが、これで自分の発言やら投稿を評価してもらえるというシステムだ。

 昔は有名だったが最近下火になった某SNSでアカウントを作り、毎日投稿しているが、まったく人も来ず、いいねどころから、足跡もつかない。

 むなしくなってきて、しばらく放置していると、DM《ダイレクトメール》が届いたとメールで通知があった。久しぶりにログインしDMを確認する。

 なんでも、いいねをつけてくれるというシステムの紹介らしい。

 システムにいいと思ってもらってもむなしいだけとおもったが、多少いいねがつくと呼び水となり、人も集まってくるという説明だ。

 今は無料期間でお金もかからないということで、話のタネにつかってみることにした。

 自動いいねツールという名前のシステムにログインすると、自分のSNSサイトを登録する。いいねの数も指定できるようだ。

 おそらく、ダミーのアカウントを作っていいねを自動でつけまくるというシステムだろう。

 軽く10個と指定してみる。

 次の日、SNSの自分のページを見ると10個のいいねがついていた。つけたアカウントをそれぞれたどっても不審な点はない。いきなり作ったかのような不自然な点もない。

 

 それが呼び水となったのか、いいねが増えてきて、100を超える評価がつけらられるようになってきた。

 数日後、例の自動いいねツールから連絡があり、指定のアカウントにいいねをつけるように指定があった。

 もし、逆らうと今まで不正でいいねをつけていたことを運営にばらすという。

 そうなったら、アカウントをBAN削除されてしまう。いいねで満たされた承認願望を失いたくない。

 いわれるままに、いいねをつけてまわった。次第にいいねをつける数が、もらう数を上回っていった。


 いいねをつける作業の中、ふと疑問におもう。そもそも本当にいいとおもって、いいねをつけた人は何人いたのだろう?





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