そんなみんなが好きだった

 とあるネットゲームの話だ。

すでにサービス停止となっているが、いくつか印象に残る思い出もある。

ネットゲームは個人でプレイする場合もあるが、ギルドというグループに属し、ボスと戦いランキングを競ったりもする。

当時、属していたギルドのマスタはガチ勢というほど、廃課金者ではなかったが、いち早く攻略法を見つけたり、ギルドのメンバーのフォローを密に行い。信頼も厚かった。

さらに、ゲーム以外でもイベントを行い。初心者でも楽しめるように配慮もしていた。

その中のイベントで怖い話をするというのがあり、その中でも印象的な話がある。

 とあるキャラクターが常に同じ場所にいるというたわいもない話だった。

ネットゲームはメンテナンスのため、すべてのユーザを強制的にログアウトすることが週に一度くらいあるが、そのキャラクターはとある町の同じ場所にメンテナンスが終わった直後にもたたずんでいる。ということだ。

そのキャラクタの名前は、適当に決めたような名前だった。

自分もそのキャラクターを見たことがある。

どんなときもそいつはいて、ずっと立っていた。

興味がわいたのでマスタがその都度、話しかけても無言で何も帰ってこない。

そんなある日、マスタがログインするといつの間にか近くにいて、立っている。

やはり、話しかけても無言で、一歩も動かない。

さすがに、不気味になったので、できるだけ近づかないようにしたが、なぜかログイン時に近くにいる。

 マスターも次第に気にしなくなってきたある日、そいつの名前が点滅し、『そんな君が好きだった』と変化し、キャラクターが消えた。

それ以降、そいつを見たことはないとのことだ。


話はこれでおわりではない。

そう語ったマスターの名前が点滅し、名前が変化し消えた。

名前は『そんなみんなが好きだった』に変化したように見えた。

それ以降、ゲームにログインしても、マスターはログインしておらず、ギルドからは脱退することになってしまった。

それから、しばらくしてそのネットゲームはサービス終了となった。

運営会社に名前が変わってしまうバグがあるのかを問い合わせたが、いまだ明確な回答は帰ってきていない。

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