落ちてくるもの

 休日、なんとなく道を歩いていると、数メートル先に何か落ちてきた。

アスファルトに転がったものを見ると、パチンコ玉くらいの大きさの石だった。

当たっても痛くもかゆくもないが不快ではあるだろう。

空を見ると石が降ってくるような感じはない。どこからか飛んできたのだろうかと思い通り過ぎた。


 次の日、出勤途中で数メートル先に何かが落ちてきた。

今度はビー玉くらいの大きさだった。

勢いも増していた。空を見ても何もない。

心なしか落ちてくる速度が上がっていたように思える。

そんなことが何度も続く。

落ちてくるものは次第に近く、大きく、早くなっていった。

目の前をかすめるように、ボーリング玉の大きさの石が落下してくるのを見て、恐怖に駆られた。


 地上を歩くのが恐怖となり、家から出れなくなった。

仕事もやめることになった。

家にいると石が落下してこないと思い、ひとまず安心だった。

なんとなくつけたテレビに緊急ニュースが報道されていた。

それは、隕石が自分の住む地区へ猛スピードで落下してくるという報道だった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る