幸せの探し方
不況のあおりをうけて会社がつぶれてしまった。
しばらくは、失業保険で食いつないでいたが、それもつきてしまった。
貯金も空になりそうだ。
妻子も見限って実家に帰ってしまい、20年以上ローンが残った広い家に一人だけになっていた。
食堂でカップラーメンを半分にわり、その半分を食べていると、強烈な腹痛が襲ってきた。
耐えがたい痛みだ。
たまらず、救急車を呼ぶ。
なんとか、痛みはおさまったが、診察で医者は苦い顔をする。
家族を呼ぶように伝えられるが、すでにそのようなものはいないと返した。
医者はしばらく逡巡していたが、意を決したのか、今の状態を伝えてきた。
かなりまずい状態らしい。
怒りがわいてくる。何故自分だけこんな目に合わないといけないのか?
不摂生が続くと命にかかわるとの医者の警告を聞いたが、嫌なことを忘れるように酒を浴び、レトルト食品で腹を満たした。
貯金も底をつきかけている。
このままだと、家のローンも払えなくなるだろう。
現実から逃避するためネットを適当にさまよっていると、とあるページを見つけた。
幸せは脳内物質できまるという内容だ。
しかも、具体的に脳内物質の分泌の仕方も書いている。
簡単なことだった。毎日30分散歩をするとか、簡単な呼吸法で瞑想するとかそんなことだ。
これ以上、不幸になることはないだろうし、なんとなくそのページの内容を行ってみた。
その脳内物質の元となるという食べ物も率先して食べることにした。
数日は何も変化はなかったが、突然幸福感が押し寄せてきた。
状況は何も変わっていない。しかし幸せだった。
今は、家もなく河川敷に棲み。食うや食わずの生活になっているが、幸せなので問題はない。
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