肝試し
夏の夕暮れ、自分を含め四人の友人が自宅に集まっていた。
アルコールも入っていたのもあり、季節も夏なので、肝試しをしようという話になった。
外にでるのも煩わしい。
ということで、室内でできることを行うことになった。
部屋は、六畳の洋間をつかうことにした。
部屋の四隅に人を一人ずつ配置して、部屋の壁を伝わって移動し、隅にいる人の肩を叩く。
部屋は狭いが、明かりを消すと部屋はほぼ真っ暗になる。
叩かれた人は部屋を歩いて、次の人の肩を叩くということを繰り返す。
これを次々と続けていくと、なぜか切れ目なく肩を叩き続けることができるというものだ。
勿論そんなことはあるはずがない。
ふと思いつきで、ここにいない友人にLINEで連絡し、乱入してもらうことにする。
呼んだ友人が自宅にたどりついたとLINEで返信があった。トイレに行く振りをよそおい、玄関で待機してもらう。
肝試しの内容をこっそり伝え、しばらくたってから洋間にはいってもらうことにした。
すでに洋間には他の三人が待機してもらっている。
思ったより暗い室内を壁沿いにすすみ、うっすら見える肩を叩いた。
その合図に肩を叩かれた友人の一人が先に進み、自分も進む。
こっそり呼んだ最後の一人がうまくやってくれているらしく、何周も部屋をぐるぐる回ることができる。
そろそろ、明かりをつけて種明かしをするべきかと思っていると、隅に行きついても人がいない。
おかしいと思って、さらに進んでも誰もいない。
何度も回っても誰もいない。
部屋の明かりをつけようにも隅にあるはずのリモコンがない。
操られるように足が動く。もう部屋を何周したかわからない。
違和感がおしよせてくる。闇が少しづつ深くなった気がした。
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