家鳴り
安月給を切り詰めて、何とか頭金を作って買えたのは郊外にたつ中古住宅だった。
妻と息子はそれでも喜んでくれていたが、毎月の小遣いは減らされることになった。
新築でこそなかったにしろ、自分の城が持てたようにうれしく思えた。
寝室は、二階の和室を使っており、ベッドに寝ていると木でできた天井が見えた。
パシ、パシと乾いた音が部屋に響いた。
妻に音の事を聞くと、乾燥しているから木が伸び縮みするだけじゃない?
とすげなく眠そうに答えただけだった。
毎日でなく、週に一回音は天井から響いてくる。
がさがさと物音も聞こえてきた。
さすがに妻も気になるらしく。ネズミが巣くっていてもこまるので確認するため、天井裏に上ってみた。
埃っぽいだろうからマスクをつけて、天井裏検査用の穴にはしごをかけて、上に上ってみた。
天井裏は恐ろしく暑く、埃っぽかった。
持ってきたヘッドライトを使い、周りを照らす。
妙な毛が数本落ちていた。
薄暗い天井裏の奥を見る。何かが動いた。
猿くらいの大きさの獣がうずくまっている。
獣はこちらを振りかえり、老人を思わせるような笑みを浮かべる。
悲鳴を押し殺した。
嫌な笑みを浮かべたまま、獣はこちらに近づいてくる。梁がパシ、パシと音を立てた。
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