出会いの時
私は、ある人物の元へ向かう。その人はまだ若いが一流の浄霊師で、名前はドウゲン。まだ私が村に住んでいたころ、村人が原因不明の奇病に次々と倒れたことがあった。そんな時に彼が私たちの村に現れ、これは霊魂の仕業だと言い、病気にかかった人たちに浄霊を行なった。皆瞬く間に病気から回復して、村は元通りとなった。今の私でも、彼となら意思の疎通ができるかもしれない。私は彼を探しに足を進める。
詳細な住所は聞いていなかったけれど、彼は王国僻地の山中に住んでいると言っていた。そのヒントを頼りに、私は山々を彷徨った。山登りは得意ではなかったけど、幸いなことに今の私は疲れを感じないので、幾らでも進むことができた。
ある山の前に来た時、私は本能的に感じた。間違いない。彼がいるのはこの山だ。この山から、何か怪しげなエネルギーを感じる。私はそれに導かれ、山に足を踏み入れた。
しばらく足を進めると、何やら怪しげなモニュメントが目に入った。あれも、浄霊に関わる何かなんだろうか。そのモニュメントの横に、簡素な家があった。間違いなく、あそこにドウゲンさんがいる。
私は扉の前まで行くと、生きている時と変わらない意識で言った。
「すみませーん!ドウゲンさーん!」
返事はない。留守かな?うーん…
今の私なら扉を通過して中に入れるだろうけど、いくら幽霊でも若い男の人の家に勝手に上がって良いものか…
など考えていると、後ろから誰かが走ってくる音が聞こえる。ドウゲンさんが帰ってきたのかな?
しかし現れた人物はドウゲンではなく、私をみるなり叫んで言った。
「この悪霊め!!浄霊する!!」
その人物は不気味なポーズをとりながら、呪文を唱え始める。しかし私には、何の影響も感じられない。私は呆然と彼を見つめる。
「そ、そんなはずは、、!?」
少しして、彼は諦めたのか呪文を唱えるのをやめ、そう言葉をこぼした。しかしどうしても諦め切れないのか、再び呪文を唱え始めようとしたその時、もう一人の人物が現れた。
「まあ落ち着きなさい、シデン」
現れたのは、ドウゲンさんその人であった。もう一人の人物は、シデンという人らしい。
「どうやら彼女は、訳ありのようです」
ドウゲンさんは私を見て、そう言った。やはりこの人は、私の存在に気づける人物だった。私は嬉しくてたまらなくなる。
「なにニヤニヤしてやがる。きもちわりい」
嬉しさが顔に出てしまっていたらしく、シデンさんは睨みながら言った。イケメンにそう言われるのは、正直悪い気はしない…ってそうじゃない!!ちゃんと話をしないと…
「わ、私はロコと言います!」
「ロコ、君は何のために幽霊となった?」
ドウゲンさんが、私に問う。私の答えは決まっている。
「私は、王国に復讐がしたいのです!」
続
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