第5話 嫉妬の目

嫉妬は1000の目を持っている。

しかし、何一つ正しく見えていない。

            ユダヤの格言


時間は歪曲する。好きな女の子と話しているときは1時間など、あっというまに過ぎていくが、退屈な授業を受けている間は時は一向に進まない。


今日、という時が過ぎているときはあっという間に感じる。

その大切な時間は、急に崩れ去ってしまった。

突然現れたこの女にいとも簡単に引き裂かれた。

ぬけぬけと、怖いからといって祐一の腕にしがみついているのだ。

本来であれば、そこは私の場所だったはず。


どうしたの、祐一。

鼻の下が伸びてるよ?


どうしたの、祐一。

いつもよりも口元がニヤついているんじゃあないの?


どうしたの、祐一。

いつもそんなに上ずった調子で話していたかなぁ?


どうしたの、祐一。

いつもみたいに私を見てよ。


ねえ、なんで?どうしたの?


…。

私としたことがどうしたものか。

いつもの調子が出ない。

元気に行こうと思うけど、せっかくの私の時間だったのに。

頭の中がぐるぐると、同じことを堂々とめぐっていく。


急に現れたこの夏海のせいで。

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