第三話
携帯を開いて、着信履歴を確認して、閉じる。ここ三日間ですっかり癖になってしまった動作だ。
大学のカフェで聞いた若者たちの集まりの件について、遙香に頼んでから一週間半。彰は間接的にだが、その会の中心にいる人物へのコネクションを得ていた。その人物へ取材の意思と彰の携帯番号を伝えてから、三日。そろそろ先方から何かしらのアクションがあっても良い頃だ。
遙香がどんな経緯で会の情報を得たのかは詳しく聞いていないので謎だが、彼女の口ぶりから察するに、会の詳細を掴むのには相当苦労したらしい。送られてきたメールには「昼食を一回ごちそうすること!」とあった。
「なんだ彰。来てたのか」
顔を上げると、マフラーを巻いた寒川がゆっくりと編集室に入ってくるところだった。
「おつかれさまです。取材でしたよね、外、寒いですか?」
「あとちょっとで十二月だからなあ」
「さっき沸かしたお湯の残り、ヤカンに入ってますよ」
湯気の立つ紙コップを少し掲げて、彰は携帯を閉じた。
おーたすかるーと言いながら、寒川はインスタントコーヒーの蓋を開けた。
「ところで、寒川さんって今、なんの取材に行ってきたんですか?」
小さな冷蔵庫に掛けられた、在席確認のための安っぽいホワイトボードには「取材」としか書かれていない。
「企業秘密」
「教える気はないってことですか?」
「まだなんとも言えない」
寒川はポケットから煙草を取り出して、卓上コンロの上にある換気扇をつけた。
「そっちの進捗はどうなんだ?」
彼女はぶーんと低い音をたてて回るプロペラに向かって煙を吐いた。
寒川は少し不機嫌そうだ。取材が上手くいっていないんだろうか。
「まあ、ぼちぼちですかね」
意趣返しのつもりはなかったが、こちらの回答もぶっきらぼうなものになってしまう。
「なんでもいいけど、企画書はさっさと出した方がいいぞ。さすがに企画書なしじゃ、こっちも取材費が出せない」
「はい。それはもちろん。……って、取材費、出るんですか?」
「ま、額は雀の涙ほどだがな」
今回の件は全部自腹だと思っていた。これは、それだけ責任を持って取り組めという寒川からのメッセージだろうか。
取材費が出る、ということは本気で彰に特集を一本任せるということだ。今さらちょっとだけ不安になって、寒川に声をかける。
「……寒川さん」
「どした」
「今回、俺がとりあげようとしているものなんですが、桜光の読者層が求めている記事とズレてるかもしれないんです。それでもいいですか?」
桜光の主な読者の年齢層は三十代より上。雑誌自体が一般週刊誌の書けないスキャンダルなどのネタを得意としているため、彰が書こうとしているものはその読者層からウケないかもしれない。
「それを毎回、好き放題記事を書いてる私に聞くのか?」
「それは……そうなんですけど」
桜光は寒川だけが記事を執筆しているわけではない。この雑誌の記事は主に二種類あって、一つは寒川が選んだ様々なジャンルを彼女の鋭い目線で書いた記事。もう一つは他社の記者がスポンサー等の都合で、自社の発行する雑誌では書けないネタを匿名のライターとして執筆した記事である。このため、桜光は一定のクオリティを保つことができるのだ。
ちなみに、寒川は彼女自身の情報網や、匿名のライターという建前でも書けないようなネタのタレコミを受けて記事を書いているらしい。つまり、名実ともに桜光は寒川しか発行できない雑誌なのである。
「好きなように書いたらいいさ。読者層が被ってないってのは、新しい読者を得るチャンスでもある」
「それって……!」
気にせず書け、という一番のエールに感謝の気持ちを伝えようと口を開くと、手のなかの携帯が震えた。着信。小さなディスプレイには「非通知」の文字が光る。
寒川は二本目の煙草に火をつけた。気にせず電話に出ろというサインだろう。
小さく深呼吸して通話ボタンを押した。
「はい。瀬戸です」
「瀬戸彰さんでよろしいですか?」
「はい」
聞き覚えのない、高い女性の声。彰はICレコーダーをセットした。
「貴男は、我々を取材する意思があるということでよろしいですか?」
――我々。あの会の人間だろう。
それにしても、いきなり本題か。どうやら会話の主導権は向こうが握りたいらしい。
「はい。そうです」
「我々の代表がその取材に興味を示しました。次の日曜日に会いたいそうですが、いかがですか?」
――次の日曜日。彰は素早く手帳を開き予定を確認する。
「昼頃なら空いてます」
本当は予定の欄に何も書いていなかったが、万が一のこともある。彰は一番人通りの多い時間帯を指定した。
「では、次の日曜日の十二時に、御空駅西口のゲームセンターの向かいにある喫茶店で」
――御空西口? ずいぶんと人が多い場所を選んだな。こちらに危害を加える気はなさそうだ。
「ひとつ確認させてくれ。西口のゲーセンの前の喫茶店って、青い看板でテラス席のあるところだよな?」
「……」
沈黙が続く。――この電話口の女は、会う場所の詳細を知らないのか?
「はい」
数分後、ようやく声が返ってきた。
「それでは」
「ちょ、ちょっと待ってくれ。日曜日、喫茶店で俺はどうやってその代表だと見分ければいい?」
「……」
また沈黙。黙っていてもしょうがないので助け船を出す。
「日曜日は白のニットに赤の上着を身につけておくから、そっちが見つけてくれ」
自宅のクローゼットの中身を思い出しながら、咄嗟にその格好を選んだ。
「……はい。それでは」
素っ気ない挨拶が終わるか終わらないかのタイミングで電話が切られた。
録音を切る。おそらく、相手は電話慣れしていない人物だろう。少なくとも取材の相手に対する会話は初めてに違いない。
それにしても、〝我々〟に〝代表〟か。……なんだか嫌な予感がする。
手帳の十二月最初の日曜日に丸を書きながら、彰は小さな溜息をついた。
*
十二月に入って最初の日曜日。約束通り、彰はゲーセンの前にある喫茶店に来ていた。
喫茶店の入口から少し離れた四人掛けのテーブル席に座って十五分。普段着慣れていない上着を指定したため、窮屈で仕方ない。
――そもそも、喫茶店のなかで待ち合わせる格好に上着を含めるんじゃなかった。
ワインレッドのライダースジャケットから覗く腕時計は、十二時の十分前を指していた。代表とやらはまだ現れない。
相手に遠慮して禁煙席を選んだため煙草も吸えなかった。彰は小さな録音機を左手で弄びながら、相手が来るのを待つ。
「――あの」
五分後。後ろから声をかけられて、彰は振り向いた。
「瀬戸彰さん、ですよね」
彰の目の前に、帽子を深く被った人物が立っていた。
「はい。そうです。えぇっと、あなたが……」
「初めまして。ノーフェイスの代表、アワイと申します」
目の前の人物が深く頭を下げる。……ノーフェイス? それが若者たちが集う会の名前なのだろうか。
とりあえず席を勧めた。電話口とは調子の違う高い声。白いブラウスに細身のパンツ。帽子のため顔がよく見えないので断定はできないが――目の前の人物は若い女性、か?
「初めまして。平端社の瀬戸彰です」
聞きたいことは多かったが、とりあえず名刺を渡す。働き始めのときに寒川から「この業種なら名刺はあった方がいい」と言われ作ったものだ。小さな顔写真が入っていて、外注のライターなどと打ち合わせをするときに役立っている。
「あ、丁寧にありがとうございます」
目の前に座った少女が名刺を両手で受け取った。彼女は名刺を見慣れていないのか、じっと見つめている。
「アワイさんとお呼びすればいいですか?」
返答がないので対面を確認すると、彼女はまだ名刺から目を離していなかった。
「……あの、なにかおかしなことが書かれてましたか?」
印刷ミスでもあったのだろうか。この名刺は名刺屋ではなく寒川のツテを使って小さな印刷所で刷ってもらったのだが、そのせいだろうか?
「あ、いえ。はい。なんでもないです」
目の前の少女は明らかに動揺している。……何だ?
「あ、あの!」
取り乱した様子の少女かこちらを真っ直ぐ見据える。そのせいか、帽子の影で見えにくかった顔がはっきりと見えた。透きとおった瞳に色素の薄い、人形のような顔立ち。高校生か大学生くらいだろうか。
「お手洗い、行ってきてもいいですか?」
「ああ、気づかなくてごめんなさい。どうぞ、こちらのことはお気になさらず」
落ち着きのない理由はそれだったか。手で化粧室の位置を指して、相手が席を立ってから躰の力を抜いた。
彰は追っている会――確か、ノーフェイスと言っていた――の代表と名乗ったアワイに対して誠実な印象を持った。この取材が終われば、企画書を書けるくらいの収穫は得ているかもしれない。
携帯が震えた。取材中だったのでマナーモードにしていたが、取材相手が席を外していたため携帯を開いた。
着信だ。相手は――桜光に何度か記事を載せている外注のライターだった。
「おつかれさまです」
「おつかれ。瀬戸くん、今大丈夫?」
「……はい。少しだったら」
化粧室の方をちらりと見て答える。
「次の桜光にまた記事を載せたいんだけど、まだ空きってあるかな?」
「桜光の次号、つまり二月号ですね?」
「そうそう」
彰はバッグから手帳を取り出した。次号の誌面が埋まったという話は寒川からまだ聞いてなかったはずだ。
「おそらくまだ大丈夫だと思いますが……。どれくらいの量になるかわかりますか?」
「ちょっとまだわからないなあ」
「わかりました。寒川に伝えておきます。いつも通り、その他原稿料等につきましては、直接寒川までおねがいします」
「はいよ。ところで、寒川さんって今どこにいるかわかる?」
「すみません。把握しておりません。編集部へは電話をおかけになりましたか?」
「うん。それでだれもでなかったから」
出なかった? 寒川は編集部にいないのか。取材だろうか。
「それはお手数おかけしました。掴まえ次第、寒川の方にお伝えしますね」
「いや、急いでないから大丈夫だよ」
「わかりました――」
喫茶店のドアがチリンと鳴った。何気なく顔を上げると、さっきの少女が外へ走って行くのが見えた。
……なんだ? 一瞬、思考が停止する。
外へ行く急用ができたのか? いや、そうだとしたらこちらへ一言かけるだろう。彼女が座っていた椅子をちらりと見る。荷物はなにも残っていない。テーブルには彰が注文したホットコーヒーがひとつ。つまり……どういうことだ?
通話中なのも頭から抜けて、彰はゆっくりと熱く苦い液体を飲む。――逃げられた……?
「――大丈夫かい?」
右耳から聞こえた音声でようやく自分を取り戻す。
「あーえっと、はい。すみません、大丈夫です」
――取材対象に逃げられたら、まずいんじゃないか?
考えてみれば当然の、しかし呆然としていたため、天啓のように思える考えが浮かぶ。
――追いかけなければ。
「すみません。失礼します!」
左手に荷物と伝票を掴んで、早歩きで喫茶店内を移動する。手早く会計を済ませ、彰は喫茶店のドアを押し開けた。手早く周囲を見渡す。取材対象は、走って横断歩道を渡った向こう側の、ゲームセンターに辿り着く手前だった。
「くそっ」
目の前の道は交通量が多く、信号無視をしても向こうに行けそうにない。特に今日は日曜日の午後。車通りも多く、彰は遠くの少女の背中を目で追いかけるしかない。
少女は目の前のゲームセンターに入った。彰はおとなしく信号待ちの人混みに加わった。
信号が青になった。少女の姿はもうない。
彰もゲームセンターに入る。ゲーセンのなかも人でいっぱいだ。
エレベーターの近くにある案内板を見た。ここは複数のフロアに分かれた、外から見た印象よりも大きな施設らしい。
――ここで人捜しは無謀か。
それでもと、彰は一階で帽子を被った少女を探す。奥に行くにつれて照明の光量は落とされて、大きな筐体が並ぶ場所に出る。四方にある機械や店内のスピーカーからは絶えず音楽が流れ、すれ違う人々の話し声さえ満足に聞こえない。
――しょうがない。外に出るか。
奥で探している間に別の出口から逃げられた可能性もある。
――これは見事に
ゆっくりと歩きながらゲーセンを出る。少し、考えを整理する時間が必要だった。
電子ライターが安っぽい音をたてた。ここは少女と待ち合わせをして、そして逃げられた喫茶店のテラス席。さっきは満足に飲めなかったコーヒーを注文して、彰は白い煙を吐いた。
名残惜しそうにゲーセンをぼうっと眺めながら、彰はここまでの情報を整理する。
まず、若い人々が集まる会の存在を大学のカフェテラスで知った。そして遙香の協力のもと、その会の中枢にいると思われる人物に取材の申し込みをした。すると、ある女性がこちらに電話をよこしてきた。その女が言うには、調べている集団の代表がこの取材に興味があるらしい。指定された時間と場所で待っていると、おそらく電話口の女とは別の少女が現れた。彼女はその会の名前を『ノーフェイス』と、そして自らがそこの代表のアワイであると語った。しかし、彰の名刺を見た少女は何も言わずに立ち去ってしまった。……こんな感じか。
まず、逃げられてしまったものの、取材の結果がないわけではない。むしろ初回の取材としては最低限のラインは超えている。その集団の名称、代表の名前と顔を押さえられたのはもっけの幸いだった。
しかし、その少女に逃げられた理由がわからなかった。最初に挨拶したときの様子を思い返すと、その段階では逃げる気はなかったように感じる。あの逃走は、愉快犯的な、会う約束をしたのにもかかわらず立ち去る、といった意味合いではないのは確かだ。そんなことをしたいのなら、そもそも会う約束を反故にすればいいだけの話だし、ハナから逃げ出す気なら名乗る必要もない。
彰はコーヒーを飲み、短くなった煙草の灰を落とした。ミルクの入ったコーヒーが躰のなかを流れていく。
そうなると、少女が逃げた理由は彰の名刺を見たから、くらいしかなくなる。しかし――少女は何を見たんだろうか。この小さい名刺ひとつで。逃亡を決意させるほどの、なにかを。
彰は名刺入れから名刺を一枚取り出してテーブルの上に置いた。書かれているのは所属と名前に携帯番号、小さな写真。おかしな点はないように見えるが……。
一番考えやすいのが、少女と彰が知り合いだった、という展開だ。会っただけではわからなかったが、名刺を見て思い出した。そして――逃げる?
しかし、ただの知り合いだけなら即座に逃げるという行動をとるとは思えない。元同級生などで関係が深いならまだしも、こちらに彼女の面識はない。
次に考えられるのは、彼女に平端社か桜光に恨み等を持っていた、という可能性だ。ただこれも、取材を申し込む段階でこっちの雑誌名まで出しているため、理由としては弱い。
「コーヒーのおかわりはいかがでしょう?」
喫茶店の店員が話しかけてくる。カップを覗くとすでに空だった。
「おねがいします。それと、コーヒーフレッシュを二つ」
「少々お待ちください」
カップにコーヒーが注がれた。短くなった煙草の火を灰皿で押し消す。目の前に大きなトラックが停まった。
二本目の煙草を取り出そうとすると、テーブルの上に置いた携帯が震えた。小さなディスプレイには「編集部」とある。
「おつかれさまです」
「彰、いまどこだ?」
「冷蔵庫のホワイトボードを見てくださいよ。西口の喫茶店です」
「取材中か?」
「あー、いえ。もう終わりました」
取材相手に逃げられた。このことを寒川が知ったら笑うだろうか。
「話がある。いまから戻れるか?」
交差点の信号が変わった。
「ええ、いいですけど。……なにか急用ですか?」
「会ってから話す」
言いたいことだけ言って寒川は電話を切った。彰は火を着ける前の煙草を箱に戻し、まだ湯気の立つコーヒーを残して席を立った。
*
桜光編集部へ階段を昇る途中で北郷に捕まった。
「よお」
「北郷さん。おつかれさまです」
彼にしては珍しく、フィッシングジャケットを着ていた。
「これから取材ですか?」
平端社が発行している雑誌は二種類ある。一つは寒川の担当する桜光、そしてもう一つが社長や北郷が担当する釣り雑誌である。釣り雑誌の方は季刊で、小さな書店では置かれていないことも多いが、一定数の読者がいるらしい。桜光は性質上売り上げがその号によって左右しやすいのだが、この雑誌は毎回安定した部数が捌けているそうだ。
「おう。そっちはどうだい? 特集は順調かい?」
「それがさきほど、取材相手に逃げられてしまって……」
「そうかそうか。ま、そんなときもあるさ」
北郷の大きな手が彰の肩をぽんと叩いた。最後に「がんばれや」と言って、彼は階段を降りていった。
なんだか少し、やる気が出た気がする。彰は力強く、編集部への階段を踏みしめた。
「帰ったか」
「はい。ただいまです」
扉を開けると、腕を組んだ寒川に声をかけられた。空気を入れ替えずに煙草を何本も吸ったようで、部屋の空気が澱んでいた。
「換気扇、回しますね」
「ん」
生返事が帰ってくる。寒川はなにか考え事をしているようだった。
「それで、話ってなんですか?」
外注のライターからの電話のことを先に話そうとしたが、彼女の様子を見て、話を聞いてからすることにした。
「そうだな……。彰、特集の進捗はどうだ?」
寒川はこちらに向き直った。鋭い視線が彰を捉える。
「ええっと、そうですね。まあまあ、でしょうか」
「何を特集しようとしているのか、現時点のことでいいから教えてくれ」
曖昧な返事をしたのに、寒川は突っ込んでこなかった。つまり、本命はこの質問か。
「はい。最初にそれを知ったのは大学のカフェだったんですけど……」
七号館の近くのカフェでその存在を知ってから、ついさっきその代表に逃げられたことまでを寒川に話した。
「アワイ……。ノーフェイス……?」
寒川はなにごとかを呟きながら煙草に火を着けた。だがその煙草を吸うことはなく、先の方からゆっくりと灰になっていく様子をただじっと見つめていた。
これは寒川が考え事をするときの癖だ。彰はゆっくりと、彼女の考えがまとまるのを待った。
四本の煙草を煙と灰にしてから、寒川は五本目の煙草を口にもっていった。
「彰」
「はい」
「その特集の話、本当だな?」
「……ええ」
寒川はゆっくりと煙を吐いた。
「この件。私にしばらく預けてくれないか?」
「…………え?」
予想していない展開だった。彰はてっきり、取材のやり方になにか言われるのかと思っていた。
「この件を調べるのを一旦中止してほしい」
「それって……?」
「おそらく理由は言えないが、少しだけ待っていてほしい」
「……ええ、いいですけど?」
「すまん。それだけだ」
それきり寒川は黙ってしまう。視線を逸らして考え事を再開した彼女は、彰が編集部を出るまで一回も口を開かなかった。彰は外注の件をメモで残してから、ビルの階段を降りた。紫煙に包まれて考え事をする彼女は、人を寄せ付けない、孤高の狼のような鋭さを持っていた。
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