第12話 異世界ふぁんたじー
そして異世界二度目の朝だ。特に昨日の朝と何ら変わらず目覚めもそこまで悪くなかった。強いて悪いところをあげるとするなら今日はどこかえ出かけるということだろう。
別に外に出かけることは嫌いではないのだが、昨日ローズが言っていた護衛に関係する話ってのが不安なんだ。
もしかすると兵士の訓練場に連れていかれたり、もしくはどっかの道場に放り込まれたりするのか? 取り合えず気が気でならないのだ。
そして朝食を済ませいつもの用意していただいていたこの世界の一般的な服とは少し違った。
何と言うか黒を基調とした執事の正装に近いもののようだ。こんな服で行くところは限られてくるのだが。と思いながらローズを先に待たせないよう早いうちに玄関に向かうのだった。
「うん、こういう服着ればまともそうに見えるわね」
「開口一番がそれですか……いつもの服もここの人たちが用意してくれたいいものなんですからね」
はぁ、とため息をつきながら答える。王女様がこんなんでも大丈夫なのか?
そして用意していただいた馬車に乗り込む。中は意外と広くいい感じにゴージャスだ。これなら悪目立ちしなさそうだ。
走りだすと揺れもほとんど感じず初めての良い馬車ライフを送れそうだ。
「いったいどこに連れて行くつもりなんだ?」
「馬車に乗り込むと敬語取れるんだ。ふーん」
何か不思議そうにしている。
「人目を気にする必要がないからな。安心してくれ人前だと気を付けるから」
「はいはい、でどこに行くかだったわね。まずはこの国の三大重要施設の一つコモン・バーベンに行くのよ」
「そのコモン何とかってのはどんなとこで何しに行くんだ?」
なんだそれ? 変な名前だな。というのを飲み込みそうたずねた。
「コモン・バーベンよ!。歴史と伝統があるすごいとこなんだから。何の施設かって言うとそれは―――」
その続きを言いかけた時馬車が止まった付いたようだ。
「取り合えず。見たほうが速いでしょ」
そう言い自分でさっさと降りて行ってしまった。
それに続いて降りた俺はあまりのすごさに声が出せずにいた。
「どう?ここがこの国唯一の魔道専門施設、コモン・バーベンよ!」
魔道施設コモン・バーベン、外装は威厳があり古さを感じさせない石造りで高さは50mはあるだろう。施設と言うくらいだ様々な建物の集合だと思ったのだが。一つの建物のようだ。
ローズの屋敷から見えていた建物はここだったようだ。そういえば少し前に会っていたちびっ子少年もといフユがここのことを言っていた気がする。
よく聞いていなかったが……。あいつは今も元気だろうか。
「こんな所で一体何をさせるおつもりですか?」
「決まってるでしょ? ついてきなさい」
とその施設の入り口に歩いていく。俺の腕をつかんだまま。
「ちょっと待ってくださいよ。ま、まだ心の準備がー」
俺の言葉は聞こえていないようでそのまま連れていかれるのであった。
そのまま施設の中に入った。内装も外装に劣らないほど古く味のあるものだった。だが驚いたのは外見と中身の広さが違うところだった。明らかに一、二回り大きい。
そして、俺とローズは先に来ていたミキさんが部屋に案内してくれて奥の部屋に通された。
「これに手を置いて」
水晶玉のようなものを指さしている。
「何これ爆発しませんよね?」
恐る恐る手を置く。感触は水晶玉に違いないのだが何かおかしな感じがする。
「まあ見てて」
そういうと少し水晶玉が光りだした。それも消えそうなろうそくの光ほど小さく。
「えっと、これは一体何なんですか?」
正直ラノベ好きの俺にはピンと来ていた。これはあれだ魔力とかなんかを測るやつじゃないですか? 違いますか? 光が小さいのは気になるがどうなんですか?
「これは……」
「はい……」
ローズとミキさんが顔を見合わせている。もしかして結構すごいのか俺?
「心して聞いてね。これは魔力を測定する水晶玉なんだけど……。あなたの魔力すっごく少ない」
「へ?」
「いや一般人はそもそもほとんど持ってない人が多いからその人たちに比べればあるんだけど……。一般的な魔導士の平均以下ね」
衝撃の事実だ。俺にチート能力は備わっていなかったようだ。うすうすは気づいてたさ、夜部屋でかめはめ波しても出なかったし。しかもその姿をメイドのカナに見られたし。
「取り合えず魔導士にはなれますが険しい道のりになるということですよ。なれないわけではありませんのでそう気を落とさないでください」
ミキさんが慰めてくれる。ありがとございます。
「どうです? 一応魔力の適性を見てみましょう」
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