第3話 ~色を求めて①~

工房に着くと、グラン先生は言った。

「今回、皆さんには色を決めてもらうわけですが、それはミニゲームによってきまります。」

「ミニゲームですか?」

「ええ、3人1組でチームを組んで、工房の外にあるフィールドの中を探検してもらい、必要ならば敵と戦い、赤・橙・黃・緑・青・藍・紫の7色のコインを探してもらいます。コインについては、入学時に渡したホログラムに地図情報をアップデートしたわ。転入生には今渡します。」

「武器の支給はあるんですか?」

とエーベルが尋ねた。

「ええ、あなたたちには、剣があるでしょう。転入生には渡しておかないとね。

アイルくん、アリネさん、エーベルくん、これを受け取りなさい。」

「ありがとうございます、しかし剣だけではどうにも..... 」

「ええ、だから今回あなた方には、自分の仮術ポジションを決めてもらいます。将来、シーアを手に入れる時、仮術ポジションが決まっていないと不便だからね。それぞれのポジションには、決まった技があるので詳しくはホログラムを見てください。では、皆さん5分与えますのでこれから言う仮術ポジションを決めてください。戦士ファイター、ヒーラー、光を照らすもの《ライター》、草原のグレナー、海の覇者ウォーニング、氷の使いフロージン、魔法使い。以上です。では、どうぞ」

「ねえ、アイル?何にするか決めた?」

「ううん、まだ....」

「ふん、赤ん坊だからまだ決められねえよなあ。もう俺様は決めたぜ。戦士だ!」

「私は、ヒーラーになる!」

「じゃあ、僕は....」

「お前は、根が暗そうだから魔法使いでいいだろ、赤ん坊」

「うるせえな、じゃあ光を照らすものライターになるよ。」

「ふん、あんな弱そうなもの。」

「いいじゃない、別になんでも。」

(ああ、アリネがとりなしてくれて助かった.....)

そうこうしているうちに、グラン先生が呼びかけた。

「じゃあ、そろそろフィールドに入って下さーい。一番早く集められたチームには褒賞がありますよ。よーい、スタート。」

「よし、行こうぜ。」

そう言って、エーベルはいち早く俺たちを置いて行ってしまった。

「あ、待って、エーベル!」

慌てて追いかけたが、どこにもいない。

「じゃあ二人で行動しましょう。」

アリネがそういう言うので共に行動した。


「ホログラムの地図データによると最初の赤のコインがあるのは、ここ、ね。」

そう言って、アリネが入ると.....

「キャ!」

そう叫んで俺にしがみついてきたので洞窟の中を覗くと、赤い龍がいたのだった。

赤い龍が一人の少年に火を噴いており、少年は苦戦を強いられていたようだった。

「⁉エーベル!」

そう俺が叫んで龍に光の一撃を加えて助けようとしたそのときー。

「ウォーターハイドロカノン!」

そうある少年が叫んでものすごい(という分には水圧がすさまじいが)を発射した。

(あれはうちのクラスで優等生って言われているイケメンのホワン!)

「大丈夫かい、アイル、エーベル。」

「何だよ、お前。俺がせっかく倒そうとしていたのに。」

「え、お前、先生の話聞いてなかったのか?」

「は?」

「ポジションと色の相性によって戦いが変わってくるって言っていただろう。」

(確かにそんなことを言っていた気もするが、アリネに見とれてて聞いていなかった)

「僕たちと一緒に行動しないか、君たち。僕たちのポジションは海の覇者ウォーニング、草原のグレナー、氷の使いフロージンと君らのものと被ってないし、協力すれば早く終わらせられるさ。」

アリネと俺は賛成したが、エーベルはふてくされてた。

「なあ、頼むよ、エーベル」

「やなこった」

エーベルはそういったものの、結局一緒に行くことを承諾した。

こうしてホワンとその友人2人のチームも加わり、6人で一緒にコインを探すことになったのであった.....



(続く)

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