永遠の中の刹那にラピア色にも勝る思い出を

霧査辟 怜緒

1. チャンス到来

硬いプラスチック製の浴槽でいつもとは違う窮屈感を覚えて、上条は目を覚ました。

「う〜ん、何か狭ぇし、いいにおいが...って、ええええええええ?!?!」

素っ頓狂な上条の叫び声にオティヌスは起こされた。

「朝から騒がしい。隣のシスコン野郎にまたどやされるぞ。」

「いやっ、そうなんだけどね!それより、お前っ!体がっ!」

「うん?おぉ...おぉ!!理屈は知らんが体が元に戻ってるっ...!これなら猫に咥えられるという恥辱からおさらばできる!」

オティヌス自身も理由はわからないみたいだった。するとここで一つの事が問題になってくる訳で。人形サイズの体で着ていた布地面積が極端に少ないあの衣装は伸び縮みする訳がなくて。つまり、裸だ。

「ごっごめんなさぁぁぁぁい!!」と上条は赤面し、叫びながら浴室から走り去って行った。

「///...まぁ、あいつが私の体にも反応する事がわかったな///

...ん?ならば、私にもチャンスがあるのではないか?新参の割にヒロインレースぶっちぎり1位だったもんで大きなハンデをつけられてしまった私でも...!」

朝7時のとある寮のとある部屋の浴槽で、元魔神であった少女が、ある決意をした。


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