第97話 長時間の説教ですよ!

あれから数時間が経過し目が覚めた俺は横で寝ていた歩美を起こす


(……ってなんでこいつは俺の隣で寝てるんだよ、、)


「おーい歩美起きろよ!」


「んん……もう食べられにゃい……よぉ」


完全に熟睡してやがるのだった……全く仕方のないやつだと思いながらもゆっくりと寝かしてやることにした


外は既に暗くなっており皆はもう寝ている時間なのだった


変な時間に目が覚めた俺は暇になってしまった


(これからどうするか……明日には寮に帰るとしても)


その時、俺は久しぶりお菓子を作ろうと考えてしまった

ーーキッチンに行くと明かりが付いていた


(こんな時間に誰だ?)


こっそりと見ると何やら必死に作っているマステが居た


「何作ってるの?」


俺は話しかけながら歩き近づくとあるものを見せてきた

それはーーケーキだったのだ


(ケーキかぁ………久しぶりに食べてないなぁ)


「オストはどうやって美味しいケーキを作ったんだ?いくら作っても分からなくてな」


なるほど……それでこんな真夜中まで作っていたのか


「ん〜とりあえず味見してもいい?」


「あぁ」


指にクリームを付け口に入れたーーしかしそこからは想像を超えるほどの味がしたのだった


正直に言おう………これはまずい!


「これねぇ……簡単に言うとクリームを混ぜすぎだな」


「俺デザート系は駄目なんだよなぁ昔から」


(よくそれでコック長を出来たな…まぁでもデザート以外は確かにめっちゃ美味いし分かるけどさ)


「まぁでもとりあえずさクリームを混ぜすぎだから気をつけてね」


「あぁ!助かったぜ!」


アドバイスを入れた俺はもう一度部屋に戻った

すると目の前には歩美がベットの上で座っていた


「歩美起きたのか」


「オスト兄……何勝手にいなくなってるの?」


「それは歩美が何故か横にいたからで」


「何かあたしに言うことない?」


微笑みの顔をした歩美の奥には怒りが見える気がした。


「え?でもそれはあゆーー」


「オスト兄???」


「はい……すいませんでした」


「よろしい!」


理不尽だ………っと思うが余程心配してくれているのだろう


「それじゃあ……もう夜も遅いしあたしは寝るね?」


「あぁ……おやすみ歩美」


歩美はそう言い残し元俺の部屋のベットで横になった

するとすぐに寝言のような声が聞こえてくる


(まったくどんな夢を見ているのか)


それから数時間が経ち俺は寮に帰ることにした


「それじゃあ……俺はそろそろ行くね」


父さん含めベノア姉や母さんに歩美、兄さん達まで見送りに来てくれていた


「オスト……ありがとうな」


真剣な眼差しをしたままこちらを見てくる


「いいって!父さん身体は大事にね?」


「あぁ……任せろ!」


自信満々に言うその言葉に偽りはない

そんな姿を見た俺は少しの安心を感じたのだった


俺はそんな父さん達を見て安心をし寮に帰った………はずだった。


(転移魔法と言え……ここに来るのも懐かしい感じがする)


寮に入ろうと玄関を通ると目の前にはエミリア達が立っていた


「オ〜スト君?」


「え、エミリア……何でここに」


ここは男子寮……普段なら通れないはずだ……なのにどうして


「ん〜そんな事よりまずは言うべきことあるよね?」


どうやらお怒りMAXなようだった。


「すいませんでした……」


「まぁいいでしょう」


「とりあえず部屋に行こうぜ?ここは流石に人目が」


人目を避けたかった俺はエミリアを説得し何とか部屋に連れていくことに成功した


「それで?オスト君はこの数日間王城に帰ってたんだってね」


「あぁ……まぁうん」


「なのに……一言の連絡もせずに学園も休んで……まったく」


「そうだぞ?オスト…エミリアお前の事心配しすぎて授業中とかずっと上の空だったんだからな?」


(まじですか………なんか申し訳ない)


「その事については申し訳なかったよ……連絡する時間がなかったんだ」


そうだーー守護神の加護を貰い受けた彼女との戦いで体力は消耗し更に父さんに魔薬草を作る為に魔力を消費しそれで気絶したからな……


「それでね?オー君……明日は学校に来れるんだよね?」


「あぁ安心してくれ!シルク」


「良かったぁぁ!!」


「シルクさん今それ言う時ですか?とはいえひとまずはお帰りなさいオスト」


「ありがとうな……リベストア」


万遍の笑みで迎えてくれる人がいる……これ以上嬉しいことは無い


(まぁでもそれは……1人だけ納得してない人が横を見るのが辛い)


「確かにお帰りなさいなのですけど……私はまだ納得してないですので!オスト君!今から説教です!」


「えぇぇぇ!?」


「義父さんの件は仕方ないと言え無断で行き無断で休み連絡もなかったんですから!」


(まじかよ………)


それから俺はエミリアの説教を数時間に渡り食らうことになったのだった


「まぁでも生きててくれて嬉しいです」


「あぁ……」


「それじゃあ私達は帰りますね!また明日」


「また明日」


満足したのかエミリア達は自身の寮へと帰って行った


「それで?なんで笑ってるんだ?ザァベスト」


「悪い悪い!つい……な?」


全くこいつは……1回お休を添える必要あるか?


「すまんすまん!」


「ったく……それでだな、なんでエミリア達はこの寮に入ってこれたんだ?通常なら寮母に止められるはずじゃ」


「あぁ通常ならそうなんだけど今日に限って寮母は旅行に行ってるらしい」


「才ですか」


(まぁでもなんだかんだありながらもやっぱり待ってくれる人がいるって嬉しいことなんだな)


そう俺は心に実感したのだった

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る