第96話 救えた命

「お、、が、、、い」


誰かの声が聞こえてくる………それにここは何処なんだ?


何も感じないし何も無い場所だ


そうだった……俺は魔力切れで死んだんだっけ?以外にも早かったな、、もうちょっと異世界生活を暮らしたかったな、、


そんなことを思っているとまた何処からか声が聞こえてくる


「おね、、い!お、てオス、、兄!」


(誰なんだ?……でも安心する声だ、、)


でも……最後にしてはいいな、、父さんは救えただろうか……


その時だった……誰かが俺の手を引っ張る


(なんだ?この暖かい手は……)


それと同時に聞き覚えのある声がはっきりと聞こえてくる


「起きて!お願いオスト兄!」


次第に掠れていた目はハッキリと見えてくるようになった


「あ、、ゆ、みか?」


「ん、、うっ……」


俺が目を覚ましたことに気がついたのか歩美の目からは涙が溢れ出す


目が眩しいな、、それにここは元俺の部屋な様だった


「オスト兄がやっと起きた…」


「ちょっと!父上達呼んでくるわ!」


少し目を下に下ろすとベノア姉が慌てて部屋を出ていってしまった


それにしても歩美は目のクマが凄かったのだ


「歩美……寝てないのか?目のクマが、、」


「ん?アハハ!オスト兄がなかなか目を覚まさないから心配したんだよ」


そうだったのか……俺のせいで……でも


「ありがとうな……歩美」


「うん!」


そんな会話を交わしているとドアの向こうから走ってくる音が聞こえてくる


「オスト!俺の為を助けてくれる為だけに自分を犠牲にしてまで無事だった!?」


「父さん……」


歩美同様に目から大量の涙が溢れ出していた


本来なら何か言うところだろうけど……この人に何を言ったって更に泣くのだ


(まぁ……子供想いってことか、、)


父さんの後ろには他のノスト兄達も来ていた


「俺はどのぐらい寝ていたんだ?」


するとすぐに父さんはそれに答えた


「ざっと3日だな」


「3日も!?」


俺は驚いてしまった……まさか三日三晩寝ていたなんて……


それにしても気になることはもう1つある


「それから学園の方はどうなったの?」


「一応休むという報告入れておいたから安心しろ」


良かった…流石は父さんだ!行動が速い


「でもオスト兄かなり危なかったんだよ?」


え?そんなになのか


「あぁ歩美の言う通りだ……オストお前は俺を助ける為だけに残り少ない魔力を使い切って気絶したんだよ……それに死寸前だったんだぞ?」


「えぇ……まじかよ」


魔力は多い方だと思うけど……やはり新スキルはリスクがあったのか

仕方ない事だろうけど……まだまだ弱い自分が憎いな


「まったく!オストは無茶ばかりする!でもそのお陰で父上は助かったんだけどね!」


「ベノア姉………」


改めて俺はベノア姉に優しさという感心するのだった、、しかし


「で〜も?心配させた罰として体力が回復したらデザートを作ってもらうわよ!」


ニッコリと笑う姿は悪魔の様な姿だった


それに前言撤回だ……ベノア姉は優しくないのだ逆に悪魔だと言うことに改めて実感した


「はぁ……分かったよ!仕方ないなぁ」


「やった!」


ベノア姉が話終えると後ろにいたノスト兄とアストリア兄が話しかけてくる


「まったく、、オスト心配をさせて」


「あぁ全くだ!でも良かった……死ななくてな」


「兄さん達……うん!ありがとう」


家族達は俺の心配をしてくれるのは嬉しかった


でもまだ俺にはあることが残っていた


「そう言えばエミリア達怒ってたわよ?」


「それまじ?母さん」


「えぇ……手紙でオスト君が帰ってきたら説教するので伝えておいてくださいだって」


手紙を広げて読みあげていく中俺は想像してしまった


(やっべ……怒り状態のエミリアの姿が容易く想像してしまう)


「あぁ…あとそれから追記、オスト君には罰があるので逃げないようにって書いてあるわね」


「ま、、じか」


俺………もしかすると今度こそ死ぬのか?


「じゃあオスト俺達は部屋に戻るからなんか欲しかったら言ってくれ」


「うん!ありがとう父さん」


そうして父さん達はそれぞれ部屋に戻って行った


ただ歩美を残して


「歩美なんでここに?」


「だってここオスト兄の部屋だしあたしも借りてるし」


そうだった、、完全に忘れてたし


「悪いけどもう1回一眠りしていいか?疲れてさ」


「分かった!あたしそこら辺で本でも読んでおくね!」


歩美は本棚から本を取り出し読み出したのだった


(それにしても父さん助かったんだな……良か……っ……た)


そうして俺はまた一眠りについてしまったのだった

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