第32話 実家に帰ったが落ち着かないんだけど?
「あら?そこの人達はオストの恋人と友達かしら?」
「ベノア様!お久しぶりでございます!エミリアです!」
「エミリアいいのよ?そんな敬語じゃなくても……」
エミリア達は椅子に座るとメイド達がお菓子を運んできた。
「な、なんですか?これは」
「あら?エミリア達は知らないのね……これはケーキ(・・・)という食べ物よ」
「オー君私こんな綺麗な甘味初めて見た……」
「オスト!これ食っていいのか!?」
「オベスト頂いていいの?」
「あぁ!皆いっぱい食べてくれ!」
パクッ!と口にケーキを一口入れるとその手は止まらずあっという間に完食してしまった。
ケーキを食べ終えると……最初に出た言葉が……「「おかわり!」」だった。
取り敢えず2,3個ケーキを食べ終えると満足した様子だった。
「所でオスト久しぶりに帰ってきたんだ…良かったら温泉にでも入っておいで」
「ありがとうノスト兄」
「エミリア達は私に付いてきてね」
「「はい!」」
この世界には元々水浴びだけ浴びるのが主流だったのだが…俺が8歳の頃温泉が懐かしくなりいざ作ると予想どうり全員に驚かれ今では皆温泉を気に入っているのだった。
◆
「オスト!なんだよこれ!?体がめっちゃ暖まるんだけど?」
「それが温泉だからね……」
ザァベストと同じく女湯からも驚きの声が聞こえた。
「そういえば…ザァベスト君って言ったかな?オストは学園ではどんな感じ?」
「え?そ〜ですね…生徒達からは憧れの存在的にはなってるんですかね?」
「は?俺いつ憧れの存在になったの?」
「ほら……あの黎悪魔の時だよ」
「あの時かぁ〜〜」
どうやら黎悪魔ザクエンの試合で俺は憧れの存在となってしまったらしい。
「別に尊敬しなくてもいいんだけどなぁ」っと口に出しながらも内心は嬉しかったのだ。
その時、ガラガラっと扉が開き入ってきたのはアストリア兄さんだった。
「ノスト俺もいいか?」
「あぁ大丈夫だぞ……アストリア」
「さ、さっきぶりです!アストリア様!」
「アハハ!いいって!ザァベスト君…俺はそこまで尊敬される存在じゃないし」
「で、でも………」
「大丈夫だよ?友人みたいな感じで接してくれたら俺も助かるしな」
「わ、分かりました……」
アストリア兄も入ってきたことにより…俺やザァベストとの出会いや恋バナなど
色々雑談をしたのだった。
一方その頃女子達はと言うとーー。
「あんた達……何してるの?」
「え?あっ!いやこれはその……」
「エミリア……男湯が隣にあってオストが横にいるからってわざわざ壁に耳をくっつけなくても……会いに行けばいいじゃない」
「そ、それは…恥ずかしいです」
ベノア姉はエミリア達をからかった。
「それにしても…あんた達全員オストが好きだなんてね……」
「「!?」」
エミリア達がビクっ!?っと驚くとベノア姉は笑った。
「エミリア、シルク、リベストアは分かるけど…ブレアちゃんはなんで好きになったの?」
「あ、それ私も聞きたかったんだよねぇ〜!オー君のどこに惹かれたのかを」
「あっ!シルクさんそれ分かります……わたくしも聞きたいです」
ブレアは話を急に振られながらも落ち着いて話す。
「実は……10年前……オベストが迷子になっていた私の妹を助けて初めはお礼をする為だけに家にお呼びしたのですけど……それから話していく度に彼の魅力と言うかそれに惹かれちゃって……」
「成程……成程……分かったわ!ブレアちゃん!合格!」
「え!?」
「いやぁ〜姉の私からもあれなんだけど…オストって話し方とかが昔から上手くてね……喋ってる時も何故かあの子の話題にいつの間にか集中しちゃうのよ」
それから女子達は雑談を楽しんだ。
「まぁ〜姉からの頼みなんだけど…あの子のことをこれからもよろしくお願いしますね?4人とも」
「「はい!」」
◆
それから温泉を出て夕食の時間になった。
「さぁ!皆!遠慮なく食べてくれ!」
親父が声を張って言う。
「「頂きます!!」」
久しぶりの実家の料理なのだ……しかも今回は友人や恋人も一緒だ…これ以上嬉しいことは無かった。
それから俺達は夕食を楽しみ個人の部屋に案内をし俺はベットに潜り込んだ。
(今日は楽しかったな……明日も楽しめたらいいな……)
俺は目を閉じた………
しかし次に目を開けるとそこは見覚えのある真っ白な部屋だった。
「え?ここは……確か……」
俺は見覚えのある部屋を見渡していると声が聞こえた。
「お主……久しぶりじゃのう……」
「神様!?」
「元気しておっか?」
「お陰様で元気です!」
そこに居たのは……俺がお世話になった神様本人がいた。
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