第31話 夏休み

学園の授業が終わり……放課後のHRの時黒板にバン!っと音を鳴らし「君達!明日から遂に例の物が始まるぞ!」っと大声を出す先生。


クラスメイト達はそれに威圧され俺やエミリア達も威圧されていた。


「はい!そこ明日から何が始まるかな?答えよ!リベストアさん」


「え?えぇっと夏休みですかね?」


「そう!夏休み!君達にとってはとても嬉しいことだろう!当然私も嬉しい!何故かって?それは毎朝朝早くから学校に来なくて済むからさ!」


先生はそうカミングアウトをするといきなり凹み出した。


「先生……言ってて悲しくなってきちゃった……」



俺達は夏休みの過ごし方とかを聞き学校も終わり寮に帰っていると


シルク達が話しかけてきた。


「ねぇオー君は夏休みどうするの?」


「え?夏休み?そうだなぁ……取り敢えず実家には帰ろうかなって思う」


「実家かぁ……そういえばオー君は王子だったもんね」


「えぇぇぇぇ!?」


横に居たザァベストか驚きながらこっちを見てきた。


「そっか……ザァベストは知らなかったんだっけ?俺がこの国の第3王子って」


「当たり前だろ!?こんな王都の隅にある寮とかにそんな情報は入ってこない」


「やっぱり第1王子だけとかなのか?」


「あぁ……多分そうだろうな……やはり権力とかがでかいからな?家の実家でも第1王子とかばっかりでオストの事なんて多分滅多に出てこなかったんじゃない?」


「いざ目の前で言われるとなんか心に刺さるな………」


俺は萎えたが…まぁ別に王子だけどいつか隠居とかするかもしれないしいっか!っと思い気を取り直す。


「まぁでも再来週あたりに実家に帰ってみようかな……」


「なぁなぁオスト!それ俺も言っていいか!?」


「まぁ良いけど……来てどうするんだよ」


「お前が王子なら城下町とか案内できるだろ?」


俺は溜息を付くもそれを了承した。


「オスト君!私達も義父さんに挨拶していいですか?」


「気が早い早い」


「いいじゃないですかァ〜!ねぇ?2人とも」


「あぁそうですよ?オスト」


「オー君と正式に婚約したってことを伝えないとね!」


「いいわねぇ〜それ!私も行こうかしら………」


お前ら気が早いって………っとそんなツッコミを入れようとした矢先……1人聞いたことがある声が聞こえた。


俺はシルクの方から聞こえた声の方向を見るとーーブレアが腕を組みながら立っていた。


「ぶ、ブレア!?なんでここに!?」


「貴方……オベストじゃ無かったのね……本当の名前はオスト……成程通りで前に彼女たちがオストオストって言っていたのが一致したわ………」


何故か少し怒り気味のブレア…その様子は俺にとってはまるで魔王のようだった


「それで?オベスト…私もこの子達みたいに王城について行っていいかしら?」


「あっ……名前の呼び方は変えないのね……」


「今変えてもややこしいでしょ?んで行っていいのかしら?」


「はい……勿論です…だけど来ても面白いもんとかないぞ?」


「それは言ってからのお楽しみ………」


その笑顔は悪巧みをしている笑顔だったことを俺は覚えている。



それから俺達は夏休みに入り俺の実家……王城に帰る為皆で学園の前で待ち合わせをし集まった。


「ん〜久しぶりに帰れるねぇ〜!オスト君」


「そうだな」


「やっぱりノストさんとかベノアさんとか久しぶりだねぇ早く会いたいなぁ!」


「そ、そう………だな……」


その時俺は声を震わせていた。

勿論……実家に帰りたくない訳では無い……だが……家には……ベノア姉がいるのだ。


(あの人のことだ……また新しいお菓子とかないの?とか聞いてくるんだろうな)


それから俺たちは馬車に乗り…半日掛けて王城に着いた。


「「オスト様!お帰りなさいませ!」」


門に立っている傭兵が挨拶をしてくる。

すると目の前には両親がいた。


「オスト〜!おかえり〜!」


「父さん……ただいま」


「なんだ?前みたいに父上って呼んでくれないのか?」


「貴方…オストももう15歳ですよ?」


「あぁそうだったな……」


久しぶりの両親との会話も弾み俺は楽し思いをしシルク達と婚約したことや友達も出来た事とかを話した。


「手紙とかで聞いていたがどうだ?3人ともオストが迷惑かけてないか?」


「はい!オー君とは楽しく過ごさせてもらってます!」


「そうですわね…オストとは愛情も深まり……」


「2人とも……ったく……カリオン様これからもよろしくお願いします!」


「エミリア…そんなに畏まらなくてもいいよ?」


3人とも両親と挨拶を済ますとザァベストとブレアがビクビクしながら顔を出してきた。


「あらあら…貴方がオストの友達のザァベスト君とブレアちゃんね?」


「あ、はい!よろしくお願いします!」


「は、はい!」


「これからもオストと仲良くしてあげてね」


「は、はい!勿論です!」


「これからも仲良く日々を過ごさせてもらいます!」


「ザァベストとブレア……別にそこまで畏まらなくてもいいぞ?」


「お、オストが第3王子なら俺も友達としてきちんとしないとだろ?」


「そ、そうだよ?オベスト」


(ったく……気遣いが上手いのか……下手なのか……分からなくなるな……)


そんな感じで雑談をしザァベスト達を家に招き入れ食堂に来るとそこにはーー

ベノア姉とノスト兄とアストリア兄が座っていた。


「あら?オスト帰ってきたの?」


「べ、ベノア姉!?」


「おかえり〜!オスト」


「おっす!久しぶりだな!オストよ」


「ノスト兄とアストリア兄まで………どうしてここに……」


「あら?私達はお菓子を食べに食堂に来たのよ?」


「才ですか……」


どうやらベノア姉達はお菓子を食べる為に食堂に来たらしい。


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