第33話 再会とまた逢う日まで
真っ白な部屋……覚えのある老人……そう。
全てを思い出した……そこは俺が転生する時にお世話になった場所なのだ。
「神様……ところで俺はなんでこんなところにいるんですか?」
「おっと……危うく忘れるところじゃった……実はな……」
すると神様は話し始める。
「前にお主が言っていた妹の歩美?ちゃんの気配が無くなったのじゃよ……」
「え?気配ってなんですか!?それに歩美がなんで……」
「分からないんじゃ……前まではちゃんと気配はあったのじゃが……」
「待ってください!まず気配ってなんですか!?」
「あ〜そこからか……すまんすまん」
神様は説明を始めた。
どうやら気配というのは人間が常に持っている血の流れや内蔵の動き全てが合わさり気配と呼ぶらしい。
だがある日突然……歩美の気配は絶ってしまったという事だった。
「も、もしかして!歩美はあの糞両親たちに殺されたんじゃ……」
「それは無いぞ……なんせあの両親はお主が殺されてから数日後に何者かに残酷な形で殺されているのじゃよ……」
「残酷な形?」
「正確には……苦しむ様に殺されておった」
「ほんとですか」
「本当じゃよ」
俺は特に殺された両親に感情は持たなかった
あいつらは俺を痛めつけながら殺した…その報いがあいつらに回ってきた、ただ
それだけなのだ……。
「神様は歩美はもしかすると……まだどこかにいるんじゃ」
「そうかもしれん…だから儂も出来る限り協力しよう、本当は神が手助けをしては行けないんだがな」
「ありがとうございます!」
「せめて…お主の妹だけは見つける協力をさせてもらうぞ」
「はい!」
「話はそれだけじゃ……そろそろ体が消えかかってるしのう」
「ほ、ほんとだ……それじゃあよろしくお願いします!神様」
神はコクっと頷くと俺の視界は再び無くなった。
ーー目を覚ますと…俺はベットの上にいた。
(そうか……俺、神様と会話してたんだったっけ……)
その時、俺の目からは涙が出てきた。
(あれ?……なんで涙が……)
しかしどんなけ拭こうともその涙は治まらなかった。
それと同時にその涙の原因も分かった。
(俺……両親が苦しむように殺されて喜んでいるのと歩美が居なくなってそれで
喜びと悲しみの感情が溢れだしてきたのか………)
だけど俺は信じるしか無かった。
その神様の「協力」という言葉に俺は期待感を抱く。
◆
それから俺達は各自城下町の観光や自由行動をすることになった。
(ここに帰ってくるのも久しぶりだし……城下町の観光とでも行こうかな)
俺は気ままに歩きながら城下町に向かった。
ーー城下町に着くとすぐに食べ物や魔道具など見て回ったり食べ歩きをしながら1日を過ごした
ーーそれから2日が過ぎていき俺達は寮に帰ることにした。
「エミリア達もう帰るのね……」
「ベノアさん!お世話になりました!」
「お世話になりましたですわ」
「お世話になりましたぁ!」
「みんなまた来てね」
挨拶を済まし馬車に乗ろうとするとベノア姉が服を掴んで耳元で囁いた。
「オスト……貴方また新しいお菓子作ったでしょ……」
「ゲッ……なんでそれを……」
「貴方がここに来た時から臭うのよ」
「え?俺ってそんな臭いですか!?」
「そのお菓子よこしなさい!」
「あ、無視ですか」
俺の言葉に無視をするベノア姉……だがしかし新しく作ったお菓子ーープリンはここには無いのだ。
ベノア姉には悪いが諦めてもらうしか無い。
「ベノア姉……悪いけど新しいお菓子は寮にあるんだ」
「そう…ならまた今度来る時持ってきなさい」
「あ、はい」
何故か理不尽な気持ちになった俺は寮に帰った。
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