第9話 従魔 後編

俺は第14使徒ガルシファとの戦いの差を少しでも縮める為……〘身体能力強化〙と〘反射〙を唱えた。


「さぁ俺は準備完了だよ?」


「抹殺抹殺抹殺抹殺」


「あらら完全に俺の声は届いてないみたいだな……」


少しでも感情が残っていることを期待した俺が馬鹿だった。


「殺す殺す殺す殺す」


「そんな殺気立てられてもね……」


その時だった、いきなり〘フレイムヘイズ〙を天使は放った。


「あっぶねー」


中級の魔法であるが…食らったら全身が火傷をするぐらいの威力を持つ魔法だ。

しかし俺は〘反射〙のお陰で瞬時に動けた。


「お主……遊んでる場合では無いぞ!」


「ん?確かにそうだな」


俺は取り敢えず相手との力量を図る為に少しだけ本気を出してみることにした。


「それじゃー行くぞ」


俺は〘縮地〙を使い相手の後ろに回るとガルシファの背中に魔法陣を展開させると風属性魔法〘風神〙を放った。


大きな台風がガルシファに襲ったが一切ダメージも喰らわずにガルシファは風神を消滅させた。


「やっぱりか……」


第14使徒ガルシファは本来であれば火属性魔法の剣で身体をバラバラにし上級魔法以上の魔法で焼かないと消滅しないとされているのだが………。


俺の〘異空間収納〙に剣は置いてあるが…俺の付与魔法に耐えれるかが心配なのである……。


(剣はどうにかなるとして…1回ミスったら新しい剣を王城まで取りに行かないと行けないし……チャンスがあるとしたらガルシファの動きが止まった時にやるしかない!)


それはたった一瞬である………たった1回しか付与できない剣は1回きりしかチャンスは来ないのだ。


〘呪縛〙


闇属性魔法で相手の動きを完全に止める技だが…それをいとも容易くガルシファは破ってしまうのだ。


「やっぱり上級魔法以上じゃないとダメか……」


俺は〘反射〙で軽々しく避けてはいるものの所詮身体は5歳なのだ……。

光属性魔法の〘回復〙を肉体に掛け続けて居ないと俺は倒れてしまう。


「相手の力量を測るとか言っちゃったけどもはやそんな場合じゃないな……」


俺はどうしたものかと思い〘魔法創作〙で上級以上の魔法を作れないか考えてはいるものの中々案は出ない……。


その時だった……俺の脳内にふと昔の記憶が蘇ってきた。


それは俺が両親に殺される1か月前のこと………。





俺は中学生の時の親友と一緒にVRを付け…ゲームの為にログインすると第四天使の素材集めの為に討伐に出撃していた。


「ないすぅー」


「おけー」


案の定、俺は余裕で勝ち素材を入手し遊んでいるとあるものが手に入った。


それは丸い水晶みたいな形をしていた。


「なんだこれ?」


「ホントだ…なんだそれ?」


俺は親友の高野にそれを見せながらアイテムの詳細を押すとその水晶はピカ!っと光ると手持ち欄からは消えていた。


「一体なんのアイテムだったんだ?」


「それなぁ〜」


その瞬間……俺達の目の前に現れたのは素顔はフードで隠されておりでかいガタイをした男がそこに立っていた。


「高野!こいつは多分やばい」


「猛者の勘ってやつか!?」


「多分だがそうだ……」


「なるほど……」


俺はその妙な威圧感に押されてしまった。

するとその男は藪から棒に質問をしてきた。


「そなた達は古代魔法の上を行く存在…極意魔法を知っているかい?」


「知らないが……そんなものはあるのか……」


「ある……」


キッパリとそう言い切ると男はいきなり両手を広げある言葉を喋った。


「それではお手本としてこの技を見せてあげよう」


その瞬間俺達は…完全に動けなくなり気がついたら目の前は【死亡】っと書かれていた。


慌ててゲームからログアウトしVRを外すとインターネットを開きあの男が放った魔法を調べた。


それは………


〘死縛〙


しかしそのような単語をインターネットで調べてもでては来なかった。

あれはなんだったのだろうと思い月日は流れた。





いまだにあの魔法は謎だがあれなら対抗出来そうだった。


俺はあの時のイメージをできる限り想像し魔法を創作した。


(これならガルシファにも大ダメージを与えれるはず………)


俺は〘縮地〙を使い後ろに回った。


「!?」


「驚いていきなり後ろを向くのは悪いことじゃないけど……俺の魔法食らってもらうよ……」


あの時の魔法………古代魔法を超えし極意魔法。


〘死縛〙


それをガルシファに放つとまた雄叫びを上げ地上に落下した。


「うがァァうっうっ」


苦しいような雄叫びを上げるが俺はそれを見下ろした。


「悪いな……」


闇属性魔法〘呪縛〙を使いと先程とは違いいとも容易くガルシファを縛れた。


「は……な……せは……な……せ」


「悪いけどそうはいかないな……」


(どうやら身体は動けないみたいだが……喋れるらしいな……)


俺は〘異空間収納〙から剣を取り出した。

そして剣に付与魔法で炎属性付与〘炎豪剣〙と〘武器強化〙を付与した。


「それじゃーさようならだね……第14使徒ガルシファ……」


俺は〘呪縛〙を何重にも掛けると目の前に立ち剣を振り落とした………。


いくら天使達でも首を切り落とされば死ぬし身体をバラバラにされれば死ぬ………俺はその光景を何食わぬ顔で見ていた。


(もしかすると俺の両親たちもこんな感じで見ていたのかな………)


俺は過去を思い出しながらバラバラになったガルシファの前に立ち再生しようとしている所に魔法を放った。


〘業火〙


一定の箇所に炎を出ししばらくすると第14使徒ガルシファの姿は跡形もなくなっていた。


それと同時に俺が使っていた剣も折れたのだ


「やっぱ耐えきれなかったか、、」


「終わったか………」


俺は剣を見ながらそう呟いていると後ろからコンマラスに話しかけられた。


「お主……申し訳ない儂がトドメを刺せば」


「大丈夫だよ……」


「しかしお主はまだ幼い子だ……」


「安心してくれ……俺は大丈夫だ……」


「そうか……」


コンマラスは心配そうにしてくれたが俺は元気な声で返事をした……しかし実際は他の種族を殺すと言う実感を味わってしまった………。


(考えたくもないけど……前世のあの両親たちもこんな感情はあったのかな)


俺は考えたくもないことを考えてしまった。

しかしそれは忘れたくても忘れることが出来ない……心に残る記憶だ……


「それじゃー俺はそろそろ戻るよ……」


「あっ……お主ひとつ相談が」


「ん?」


俺は帰ろうとするとコンマラスに引き止められ相談に乗った。


「儂はこのままお主に何ひとつとして恩を返せてない……だから儂と従魔契約をしてくれんか?」


「従魔契約か…」


従魔契約とは魔物とかにする為にある魔法である……しかしこれはあまりにも難しいのだ……。

もしも自分が魔物の名前がわからないと契約は完了しないのだ。


しかし俺は既にコンマラスという名を知っていた。


「いいのか?」


「あぁ」


「分かった……」


俺は少し距離をとるとコンマラスの真下に魔法陣を出現させた。


「我が意思に答えし魔物よ…我が従魔契約せよ…名はコンマラス」


その瞬間俺の左手には紋章な物が浮かび上がりコンマラスの足にも紋章が出来た


「これで成功じゃ……」


「あっという間だな………」


そうして俺とコンマラスは従魔契約を結んだ。


「取り敢えず、俺は帰るとして…コンマラス程の大きさだと多分親達びっくりするからどうしたもんか……」


「あ、それなら大丈夫じゃよ」


コンマラスは自身に向けて体を縮める魔法〘縮小〙を唱えると前世の頃のどこにでもいる猫と同じ大きさになった。


「これでいいか?」


「あぁーそれならおっけーだな」


そうして俺達は王城へ帰るとそこには予期せぬ人物がいた………。


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