第5話 甘味の恐ろしさ

俺はクリシスを食堂にお招きし椅子に座らせた。


「ちょっと待っててくださいね」


「え………は…はい」


俺はそう言い残すとキッチンの方に行き密かに隠していたおやつを冷蔵庫から取り出した。


「そうそうやっぱりこれは時々食いたくなるんだよ」


それは俺の前世からの大好物のケーキだ。勿論俺は1番はシンプルにいちごケーキが好きなのだがいまは関係ないか。


(ってそれよりもクリシスさんの分も用意しないとだしな)


すると俺は魔法創作で魔法を創作した……物を複製する魔法


〘複製〙


ケーキにそれをかけるとたちまちケーキは2つになった。


複製したケーキを俺はクリシスさんの元に届けに行った。


「クリシスさんお待たせしました〜」


「え?なんですか?これ」


「これはですねケーキって言って俺の大好物なんですよ」


「凄い……初めて見る」


「まぁーそうですよね……ハハハ」


俺は苦笑いをしながらケーキを食べた。


「お……美味しい!」


「でしょ?」


「う…うん!!人生で1回も食べたことがないくらい甘くて私好み」


「良かった」


「でもなんでこんな物作れるの?」


「レシピを考えながら作ってたら作れたんですよハハ」


流石に前世の食べ物をこっちで作りました!なんて言えるわけがなかった。

でも喜んで貰えたら何よりだったので問題は無し。


「それよりなんでクリシスさんは騎士になろうと思ったんですか?」


「え?あぁそれはね」


クリシスさんは自分の昔話を語ってくれた。


「私は元エルフ族の王女なんだけどある日突然一族から追放されちゃってね


そこで拾ってもらったのが陛下なんだよ」


「クリシスさんって王女だったの!?」


「え?えぇそうよ」


(まさかクリシスさんは王女だったなんてな……どうりで可愛い訳だ。)


しかもケーキを食べる姿は意外と乙女っぽくて俺はクリシスさんを見て考え事をした。


(また今度クリシスさんに新しいケーキでも作ってあげよう)


食堂でおやつを食べているとガチャリとドアが開いた。


しかも目の前にいたのは予期せぬ人物だった。


「ベノア姉」


ベノア・ベンフォント俺の姉であり……兄弟の内の1人で第一王女でもある人だ。

しかも結構中身は腹黒いが優しい時もある人だ。

そんな人がなぜこんな時間に………まだ3時半ぐらいじゃないか。


「あら?オストどうしたの?珍しいじゃないこんな時間に」


「う、うん」


「それに騎士団団長さんもいるじゃない」


「こんな格好で申し訳ありませんベノア様」


「良いのよ〜気にしてないから」


「はっ」


(クリシスさんまじかっこいいっす)


俺は尊敬しながらクリシスさんを見ているとベノア姉がこちらを見てきた


「ねぇオストそれはなぁに?」


「え?あっやべ」


俺はさっと後ろに隠した…勿論収納魔法で


「隠したでしょ?さっさと出しなさいよ」


「え?別になんにもないですよ?ほら」


俺は手をパーにしてベノア姉に見せるとベノア姉はへぇーっと悪い顔をしながらクリシスの方向を見た。


「ねぇクリシス……さっき食べてたものはなぁに?」


「え?え?」


戸惑うクリシスさん………頼む黙っててくれ!!クリシスさん……しかし運命とは皮肉な物でそう簡単には行かなかった。


「先程頂いていたのはケーキと言う食べ物であります」


「ケーキねぇ」


ベノア姉はこちらを見ながら…ほら寄越しなさいよ!みたいな感じで見てくる。


「どうしたの?オスト」


「ぐっ………」


無言の威圧感を感じるが俺は耐える……ここでバレてしまっては親父達にもバレてしまいおかしを作る羽目になってしまう。


「どうしたの?オスト」


「…………っ」


(耐えるんだ!オスト!頑張れ!オスト!オスト・ベンフォントなら出来る!)


無言の圧力俺は決して挫けぬように頑張りたいが…………


やっぱり無理でした。


「ベノア姉これがケーキです…お納めください」


「まぁありがとうねオスト」


「ハハ」


「ん〜!甘〜〜〜い」


無理じゃん!?あの怖い威圧感は俺じゃどうにもならんぞ!?どこの世界でもお姉様って偉大なのかな?っと自分で感情を押し殺しながらクリシスさんの方向を見た俺は申し訳なさそうにこちらを見ていた。


(大丈夫ですよ〜クリシスさん!)


っと笑顔を届ける俺……それを見て安心した様子のクリシスさんまじ可愛かったっす。


(しかしそれを潰すのが俺の姉なんですよねぇ〜)


「美味しいわね!これ食事の後のディナーにしたいぐらい」


「流石にそれはちょっと」


「あら残念」


「そうですよ!ハハ」


「そういう意味じゃないわよ?」


「え?」


俺はキョトンとした……なんせいきなりそういう意味じゃないわよって何!?って思うじゃん?っとベノア姉を見ているといきなり後ろから肩を叩たかれた。


「オスト…これはどういうことかなぁ?」


「父さん………」


そこに居たのはこの国の王であり俺の親父と第1王子と母上がいた。


「なにしに食事へ?」


「さっきベノアから食堂に来てくださいっと言われてな」


後ろを向くとベノア姉は口笛を吹きながら窓を見ていた。


(やりやがったな!!あの悪巧み女!!!)


その瞬間、ベノア姉は何かを察したのかこちらに向かってきた

そして俺の頭を叩いた。


「痛って!ベノア姉!なんだよ!?」


「なにって私の本能がオストを叩けって」


「女の勘ってやつかよ」


「そうよ」


怖っと思いながらも再び後ろをむくと無言の圧力がこちらに向けて放ってくる。


(あれ?束縛系の魔法かな?)


「オスト私達にもそれ食べさせて貰えるよな?」


「はい………」


(もう勘弁して欲しいよ………トホホ。俺の人生スローライフ目指せるかな?)


3人は席に着くとケーキを要求してきたので俺はキッチンへ戻り1からケーキを作った。


「えっと材料が………合った合った」


(まずは材料の準備だな………)


必要な材料は


1、薄力粉(小麦粉を製粉したもの)

2、卵

3、グラニュー糖

4、バター

5、バニラエッセンス


これらの材料がありケーキが出来るのです。ちなみにこの異世界でも小麦はあるので簡単作れるのです。


これらが集まると次にやる手順は9つ。


準備を最初にやりましょう。まずは型にクッキングシートを敷いてオーブンで180℃に予熱してバターを湯煎で溶かして。


1・ボウルに卵とグラニュー糖を入れグラニュー糖が溶けるまで湯煎にかけながら泡を立てて、生地を上から垂らした際に10秒程度泡を立てます。


2・薄力粉を入れて振るい次に魔法で薄力粉をさっくりと混ぜ合わせ、ある程度混ざったらバターとバニラエッセンスを加え混ぜ合わせる。


3・準備の時に作った型に流し入れ、上から軽く落として空気を抜き、180℃のオーブンで25分火魔法で焼き、型から外して粗熱を取り抜く。


4・小さな鍋に甘い果実の汁の材料を入れグラニュー糖を溶かしたら、粗熱を取る。


5・いちごを上に飾る分以外を風魔法でスライスします。


6・ボウルに生クリームとグラニュー糖を入れ8分立てにします。


7・3を2等分して塗るために必要な物を〘想像創作〙で刷毛的なものを作り方それで塗ります。


8・上部に甘い果実の汁で塗りデコレーションします。


9・残りはいちごを乗せたらミッションコンプリート!!です!!。


(って俺は何一人で語りながら作ってんだ??)


語りながら作ってしまっていることであっという間に作り終えた俺は、魔法の

〘複製〙を使い3つ分にし持っていった。


「どうぞ」


父さん達は口にすると手を振るいながらこっちに何かを訴えてきている。


「どうしたんですか?」


俺は聞くと父さん達はゴクリと飲み込み大声を出した。


「なんだい!?これは美味すぎる!!」


「父上美味しいよ!」


「貴方これは美味しいわね!」


良かった意外と好評だ。元々この国は娯楽や甘味が少ないのかあまり食卓に出ない様子だった。それはこの城でも一緒だ。


「よし!!しばらく夕飯のディナーにこれを出そう!!」


「そうね!」


(決心はや!!!)


俺はびっくりしながら突っ込んでしまった………。

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