第2話 前世と来世
目が覚めるとそこは何も無い白い部屋だったーー
俺は困惑しながらも辺りを見渡したが誰もいない。
「なんだよここ……でも確か俺はあの時クソ親父達に殺されたはずじゃ……」
何もかもがわからなかった。なぜ親父達は俺を邪魔者扱いをし俺を殺したのか…
ーーしかしもうそれを知る術はない
「でもここは天国でも地獄でもない……
一体……」
その時、後ろからコツコツと足を鳴らしながら1人の老人が近づいてきた。
「ようこそじゃ……若い貴君よ」
杖を持ち白い髭を生やしたおじいちゃんだった
「はぁどうも」
「既に知っていると思うがお主は死んだ」
「はい」
俺が死んだという実感はあまりないがどうもさっきからどこを抓っても痛みを感じない。
(本当に俺は殺されたのか……)
信頼していた父から問答無用で殺され母からは罵倒と今まで優しかった内側には壮大な嫌悪が込められていたのだ
それにあの
ーーだからこそ両親達は俺を殺し歩美を利用する為だけに実行をしたかもしれない
あと殺される瞬間の事を思い出すと俺は嘔吐をする
これまでにない自身への失望に裏切られたショックが重ねに重ねるとそれが遂に切れた
(はぁはぁ……所詮俺はあの人達に人間として見られてなかったんだな)
すると目の奥から何かが来る
ーーそう。その正体は涙だった。
「うわぁぁぁ!な、んで……俺は要らない奴だったのかよ!なら最初から殺せよ!なんで今の今まで信頼を重ねいっきに壊すんだよ!クソ!」
俺は大泣きをしながら両親の愚痴を言う
今まで出てこなかった言葉が口からどんどん溢れてきた
「無能な俺は捨て有能な歩美は利用する……俺だって色々頑張ってきたじゃねーかよ……毎日きちんと学校だって行った!勉強だってしっかりとした!なのに……結局は無能扱いかよ」
思いっきり地面を叩き怒りを全てそこにぶつける
息を荒くしながらゆっくりと深呼吸をし息を整える
(泣いてても仕方ないか……でもこれからどうしよ、一生ここで過ごす訳にも行かない)
その時だった、目の前に現れたおじいさんが俺に話しかけてくる
「大丈夫か?お主…しかし安心しなされ…ここにずっといる訳では無い!」
「え?いま俺の心の声を……」
「そんな警戒しなくてもええ!儂は神じゃから声も聞こえるのじゃよ」
「なるほど」
神と名乗るおじいさんは自信ありげにこちらに言ってくる
「まぁーそれは置いといてお主前世では辛い事じゃったのう」
「……っ」
それもそうなのだ……両親に裏切られて殺されたこれを冷静に保っては居るが思い出してしまうと震えが止まらない。
「可哀想にの……でももう大丈夫じゃ!お主は転生札と言うものを使用したからのう」
「転生札………」
(確か俺は殺される直前にクリックをして……あれ?その後どうなったんだっけ?)
何も思い出せない……親に包丁で振りかざされるまでは覚えてはいるがその後の記憶が一切思い出せない。
「そうじゃお主は確かにクリックを押し死んだ直前にここに来たのじゃ」
「それってつまり今から転生させて貰えるってことですか?」
「物分りが良くて助かるのう」
「はは」
俺は苦笑いをしおじいちゃんの方をみた。
「そうじゃよ…それでいまから転生を開始するが転生先はHonmantogameで良いかのう?」
「ホンマントゲーム!?良いんですか!?」
「当たり前じゃ…なんせお主があのゲーム内で使ったんじゃろ」
「た、確かに」
俺は大いに喜んだ……生きてきていままでこんな嬉しいことは無かった。
「転生する前にお主にはプレイヤーとして転生してもらう」
「プレイヤー?それは俺以外は自我を持たないって事ですか?」
「いや言い方が悪かったのう…つまりはこうじゃ」
そう言うとおじいちゃんは丁寧に教えてくれた。
1つ目……俺はプレイヤーだが他は自我が無いという訳では無い…俺以外にも自我は持っているらしい。
2つ目……俺は最初は初期装備みたく何も無いからポイントを1000貰えるらしいそれで上手く活用しステータスを上げていくとか
3つ目……その世界は俺がやっていたHonmantogameとは少し違うらしい……
いや正しくは内容は一緒だが俺以外にプレイヤーは存在してないらしい。
「っと言うわけじゃ」
「なるほど」
「転生したくなってきたろ?」
「はい!ぜひ!!」
「転生する前に聞きたいんじゃが……お主は前世に未練はあるか?」
「未練ですか………」
未練あると言われればある……妹の歩美だ。
街中を歩けば必ず2,3人はナンパをしてくる超絶美少女なのだが……実際のところ俺と歩美は血の繋がりがない、理由は俺の本当の両親が交通事故で亡くなり俺は引き取られたとのことだった。
「まぁー未練はあると言えばありますが」
「寂しくないか?」
「なんですか?神のくせに心配事ですか?」
「うるさいわい!それじゃー転生をさせるぞ!」
「はーい」
そうして俺は魔法陣の上に乗ると周りが青色の壁で覆われた。
そして次第に俺の体は少しずつ消えかけていく。
(あぁこれが転生ってやつか……)
体が消えかかってい中俺は歩美の事だけは忘れられないでいた。
「歩美……」
(さようならだな歩美…いつかお前もあの両親から逃げろよ、あの両親は異常だそしていままでありがとうな……)
「楽しかったぜ」
俺は最後にボソッとそう言い残した。
◆
次に目を覚ますとそこは綺麗な室内でありしかも美人の女の人がいた。
これは夢か?っと思い頬をつねろうと思ったが届かない様子だった。
「貴方これが私達の4人目の子供よ」
「あぁ俺に似て勇敢な男になりそうな子だな……」
辺りを見るとそこには父親とお姉ちゃんらしき人もいた。
(え!?俺どうなってんの?)
しかし喋ろうとしても上手く喋れない。
(まさか俺……赤ん坊になってんのか!?)
そのまさかだったのだ。俺は一から成長していくことになるのだ。
「カリオンこの子名前はどうする?」
「そうだな……よし!!この子の名前はオスト・ベンフォントだ!」
両親2人に授けられた名前……オスト・ベンフォント、これが俺の名前か……そう胸に噛み締めながら眠りについた。
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