公子、すごいスキルを手に入れる
対抗戦が終わり、学園生活にも慣れてきたころ、レベルが40になった。レベル10ごとの、新しいスキルを獲得した。
《 メッセージ:未読1件 》
《 再生治療スキルを獲得しました New! 》
《 再生治療スキルは、あらゆる身体の損傷を治癒します。 》
「これは……、ものすごいスキルじゃないか?」
今までの<治癒スキル>は、身体強化魔法で自己回復できる怪我や病気にしか使えなかった。希少な能力だが、弱者を助けられるというだけで、力のある者にとっては、あまり魅力的ではなかった。
しかし、あらゆる身体の損傷を治せるとなると、話が違ってくる。
「ヴァレリー!」
興奮してヴァレリーを呼んだ。
「大至急、怪我をして身体に欠損のある患者を探せ」
「公子、それは、……まさか!?」
「多分、怪我なら何でも治せるようになった」
「すぐに手配します! ただ、希少すぎる能力なので、下手に広まると厄介です。公爵領から秘密裏に患者を呼び寄せましょう」
「分かった」
《 大怪我の再生治療をしました 経験値が上がります 経験値が+1000されました 》
《 現在のレベル:41 現在の経験値:110/4200 》
3日後に、引退した騎士が2名、公爵領からやって来た。腕を失った者と、脚を失った者。どちらも治療できた。
ただし、1日に1人治療するので限界だった。1回の治療に、俺の総魔力の7割以上が必要で、消費MPが高すぎた。
<システム>が自動で処理する<スキル>の怖い点は、俺の意志で消費魔力の調整ができないところだ。うっかりすると、<スキル>を使うと同時に、MP枯渇で倒れてしまう。
実際、1人目の再生治療をしたときに気絶した。これは、下手な使い方をすると、自分を危険にさらす。
<治癒スキル熟練>を上げて、できるだけ燃費を良くしよう。
「素晴らしい能力ですね。欠損部位を再生できる治癒術士は、この国に、公子の他にいませんよ」
ヴァレリーが俺を褒め称える。
本当、今までの<スキル>と性能が違い過ぎて戸惑う。<求道者システム>の影響力が、突如、跳ね上がった。
「公爵様にも報告しておきます。また、バレないように何名か患者を連れてきます。それと、1カ月後の長期休暇に、領地を回って、治療していただけたらと」
「そうだな。……夏休みか」
春の入学から3カ月ちょっとで、夏休みになる。1年生の夏休み。その直前に、1つの事件が起こる。悪魔の勢力拡大の原因にもなる出来事だ。できれば、被害を減らしておきたい。
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