公子、子どもと遊ぶ

 アマンダと空き地に向かう。

 歩きながら、確認していなかった<ステータス>の<New!>マークを開けてみた。


《 セリム・ベルクマン 男 15歳 》

《 求道者Lv: 2 次のレベルまでの経験値:90/300 》

《 MP: 5498 / 7691 治癒スキル熟練: 13 》


 ステータスが1行増えて、<MP>というのと、<治癒スキル熟練>というのが数値化されていた。どういう意味で、数字の大きさが何を表すのかは分からない。今後、調べていこう。



 空き地に行くと、何人もの子どもたちが、キャーキャー騒ぎながら遊んでいた。アマンダと俺が近付くと、中にいた男の子が声をかけてきた。


「アマンダ婆さん、何でイケメン連れてんだよ。若いツバメか?」


 ボカリと、アマンダがその少年の頭を打った。


「馬鹿なこと言ってんじゃないよ、クソガキ!」

ってぇなぁ……」


 アマンダをにらみつける少年の膝頭ひざがしらには、転んでできるすり傷があった。


《 治療可能な傷があります 治しますか? はい/いいえ 》


 治療できるようなので、<はい>を選んだ。


《 子どもの怪我を治療しました 経験値が上がります 経験値が+100されました 》

《 現在のレベル:2 現在の経験値:190/300 》


「何だ? 突然傷が!?」


 怪我の治った少年が驚いている。


「この兄さんが治したんだよ。他にも怪我してるのがいるだろう。全員治療してもらいな」

「そうなの? すごいね、お兄さん。名前は?」


 名前? そういえば、初めて聞かれたな。


「何で、アマンダは俺の名前を2カ月も聞かないままでいられたんだ?」

「アンタが言わないからじゃろ。いかにも訳ありの様子で何言ってんだい」


 アマンダなりに気を遣ってくれていたのか。だが、名前が無いのは不便だ。偽名ぎめいをつけよう。名無しの……


「ゴンベイだ」

「ゴンベイ!」

「……アンタがそれで良いなら良いんじゃないかい。じゃあね、ゴンベイ。儂は帰るから、適当に子どもの相手をしときな」


 そう言うと、アマンダは去って行った。

 子どもたちは人見知りしないようで、初めて会う俺を囲みに、寄ってきてくれた。


「怪我をしている子は、傷を見せてくれないか?」

「うん。ここ、釘でひっかいた」


《 子どもの怪我を治療しました 経験値が上がります 経験値が+100されました 》


「私も……」


《 子どもの怪我を治療しました 経験値が上がります 経験値が+100されました 》

《 子どもの怪我を治療しました 経験値が上がります 経験値が+100されました 》

………

……

《 現在のレベル:4 現在の経験値:390/500 》


 10人ほど治療して、レベルが4になった。

 そして、気が付くと、周囲が女の子だらけになっていた。男は……、女子に追い払われている!


「ゴンベイさん、一緒に遊ぼう」

「遊ぼう、遊ぼう!」


 それからしばらく、子どもの遊び相手をさせられた。




 城に戻って、<ステータス>を確認する。


《 セリム・ベルクマン 男 15歳 》

《 求道者Lv: 4 次のレベルまでの経験値:390/500 》

《 MP: 920 / 7691 治癒スキル熟練: 97 》


 <MP>の数値が下がって、<治癒スキル熟練>の数は増えている。<治癒スキル熟練>は、熟練っていうくらいだし、スキルを使うほど増えそうだな。上限も設定されていないから、無制限に増えそう。


「<MP>の方は、おそらく……」


 俺はその場で結界魔法を使ってみて、もう一度ステータスの表示を見た。


《 MP: 820 / 7691 治癒スキル熟練: 97 》


 <MP>が減った。魔法を使うときの魔力が<MP>か。7691というのが、俺の魔力総量か? 

 治癒スキルでも、魔力を消費するらしい。しかし、簡単な傷を10人分治すのに4500、魔力総量の半分以上を使ったのか。身体強化で治療した場合と比べると、コストパフォーマンスが悪すぎるな。


「<治癒スキル熟練>が低いと、魔力消費が多いのかもな。」


 熟練を上げてみれば分かるだろう。

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