公子、遠足の準備をする
《 孤児院に寄付しました 経験値が上がります 経験値が+100されました 》
《 現在のレベル:-48 現在の経験値:10/1000 》
《 デイリークエスト<一日一善>を達成しました 》
《 <祈り><一日一善>がともに達成されました クエスト報酬で経験値が上がります 》
《 経験値が+500されました 》
《 現在のレベル:-48 現在の経験値:510/1000 》
付与魔法の授業の次の日は、時間がとれたので、以前行った孤児院で寄付した。
金貨1枚で、<デイリークエスト>を達成だ。
城の使用人のために暖房をつけてやった行動は、1回しか評価されなかった。しかし、孤児院では、同じ行動を繰り返しても経験値になった。
多分、城に雇われている使用人に俺がすることは、単純な善行と評価されないんだろうな。
さらに翌日。本日は休日だ。
この国では、5日働いて1日休むというサイクルを、1週間としている。また、1週間が5回、30日で1カ月だ。
午前中に、再び孤児院に向かう。
同じように、金貨を渡した。
しかし、<システム>が反応しなかった。
「3枚目の金貨だが、正直、こういう寄付をどう思っている?」
目の前に院長がいるので、直接聞いてみた。
「とても有難いです。頂いたお金で、不足して困っていた備品をそろえられる目途が立ちました」
欲しい物が買えちゃったってことかな。
領主城のすぐ近くの孤児院は、孤児院といっても領主の
多分、3枚目の金貨は、貯金に回されるんだろう。
同じ孤児院に考えなしに寄付を続けても、それが活用されるとは限らない。必要としているところに出さないと、評価されないのか。
「役に立てたのなら嬉しい。そのうちまた顔を出す。困ったことがあるなら、遠慮せず、俺宛てに手紙を書いてくれ」
俺は意匠を凝らした封筒を、何枚か院長に渡した。
これに入れて送ると、ほぼ確実に俺の手に届くというやつだ。
《 孤児院の支援者になりました 経験値が上がります 経験値が+500されました 》
《 現在のレベル:-47 現在の経験値:10/1000 》
《 デイリークエスト<一日一善>を達成しました 》
《 <祈り><一日一善>がともに達成されました クエスト報酬で経験値が上がります 》
《 経験値が+500されました 》
《 現在のレベル:-47 現在の経験値:510/1000 》
お、今度は評価された。
ここの院長はちゃんとしてそうだし、時々訪ねるようにしよう。
城に戻る。
部屋には、俺の戦闘装備一式が準備されていた。
明日は、魔物退治に行く予定だ。
月に1度程度行われる、実戦訓練である。
領地で報告された魔物被害のうち、訓練に向いたものを討伐しに行く。
訓練なので、監督に剣士のカティアもつくが、彼女は手を出さず、俺が戦わないといけない。
「魔物狩りの遠征か。どうなることやら」
戦い自体は怖くない。
領地が危機の場合を除いて、未成年の子どもに無茶な戦闘をさせることはないから。
今の俺でも、領地の普通の騎士よりはるかに強いのだけれど、若者は無謀な行動をするリスクが高いらしい。酷い怪我をして将来を潰すのを避けて、子どものうちは安全に育てられる。
「問題は、魔物を殺して、経験値が増えるのか、減るのか」
人間の生活を脅かす魔物を退治すると考えたら、経験値がもらえそうだ。
しかし、生き物を殺すというのは、悪行だ。魔物は、人類にとっては都合の悪い生き物だが、むやみに殺すのはまずいかもしれない。
システムによると、俺は<求道者>、聖人を目指す者だ。魔物をばんばん殺してレベルアップとは、いかないだろうな。
「1度やってみるしかないか」
魔物といえど生き物。殺しのペナルティーで、取り返しがつかなくならないことを祈る。
「もう1つ。<デイリークエスト>問題もあるな」
今回の遠征は、1泊2日。
魔物被害の報告のあった付近の村で泊まる予定だ。
早朝に出るから、出先で2回、クエストを達成しないといけない。
「まあ、困ってそうな村人でも探せば何とかなるか」
俺は付与魔法を書くペンとインク、土台に使えそうな布や紙を詰めたウエストポーチを用意した。
「付与魔法は、<求道者>システムと相性が良さそうだ。準備しておけば、役立つかもしれない」
分からないことだらけだが、やってみるしかない。
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