最終話
羨ましかったんだ。常に。自分より体が強くて、外でいろんな友達たちと遊べるのが。お家に帰ったら親がいて、兄弟がいて、温かいご飯があって。
...そんな凡庸で特別でもない願いは自分には叶えてもらえることはないらしい。
でも、同じような現状な人たちはたくさんいた。あの施設がそうだった。
さらに、健常者なのに、クズな人達のせいで、わざと弱らされ、実験に使わされていた人もいた。
俺はそんな人たちを助けてやるって決めたんだ。
...そして。
「本当にこの家は何も変わっていないな。」
「うん。あの時から何も変わっていないよ。周りの家はほとんど変わっちゃったけどね。」
「ほとんど新しかったしな...。この家は新しくしたりはしないの?」
「うーん。しないだろうね。だってこれでもかなり大きいし、一人もしくは、二人でも広いって感じるくらいには広いしね。」
「なるほど。じゃあここに二人で住むと?」
「...そういうこと。じゃ。これ。...指輪。アクアマリンだよ。昔から寒色好きだったよね。」
「そうだね。...うーん。どっちもつけるか。」
「ありがとね。」
「?...何が?」
「いやいや。なんでもないよ。...あ、そうそう、あの時のヤンデレと今の私どっちが好き?」
「断然今の
「うそぉ。ほんとぉはこっちが好きなんじゃないの〜?
「マジでやめてくれ。」
「えへへ。」
すると...。ピンポーンとこの家のインターホンが鳴った。続けて、ドアをドンドンと叩く音。
「...誰?」
「僕を追って来た人たちかな。」
と、玄関の覗き窓で、見てみる。するとそこにいるのは、必死な顔の
僕はそれを見て、迷わず家の鍵を開け、家に招き入れた。
「どうしたんですか!?そんな急いで!?」
と叫んで、思わず咳き込んでしまう。
「すみません...。」
「...やっぱりだ...。」
「?」
「
「...はい。」
「君は完全に治っていないんだ。その証拠に、叫んだだけで、さっき咳き込んだし、きっと、麻酔が効いて、体は痛みを感じていないはずだ。」
「すみません。誰ですか。」
「...へ?」
「どう考えても
そんなことを言った時、
「正解だよ。
と
「そこにいる
「じゃ本当に
「それだけじゃない。うちの院長をどこにやった?」
そこまでいって、
「もういないよ。」
「なんだと?」
「
そう言って、
そうして...打った。
銃弾を打った音と、肉体を貫いていく音が聞こえた。
すると、体が鋭い痛みに侵される。まるで、内側から殴られているような。
すべてが終わったこの家には。
すべての色が混ざり合った一つの色が残っていた。
それはグレー。
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