第4話

...それから。


現在時刻は四時を過ぎた。かいさんに連絡したように、あの施設に報告しないと。学校が終わる時間は四時だから、そろそろ返事が来るはず。


「どうも。ご無沙汰してます。お元気ですか?」

「あぁ。元気だよ。他の子達も。」


ちなみに僕はこの施設に数ヶ月引き取ってもらったことがある。そこでかいさんや、今返事してくれている、黄綿きわた ふく君や他の施設にいる子達と面識ができた。


「今日はとある報告があってですね。」

「?」

「それは」

「うん」

「もう病院に入り浸っていいと。だからもうそちらにもどこにも引き取ってもらえなくなったということです。」

「なるほど。」


よかった。ここで寂しいとか、こっちきてよーとか、泣き言言われるとこちらもどうすればわからなくなるから。

僕との連絡員をふく君にしてよかった。と心底思った。


「この報告は...」

「?」

「全員に言った方が良いですか?」

「いや。全員に言っちゃたら、この前みたいに全員でお見舞いに来るから。」

「あぁ...。あの時はほんとすみません...。」

「いや、謝らなくていいよ。あれは僕が軽率にいろいろ言ったことによって起きたから。」

「うん。じゃ、あまり広げない方がいい感じですか?」

「そうだね。あまり広げて欲しくないかな。あぁでも、大人の人たちには報告してね。」

「そうします。」


そうして会話は途切れた。

一息つく。今日は本当に色々あったなぁ、としみじみ思う。


定期検診があり、ここにずっといろと言われ、かいさんに連絡してたら、憎み、怖かった朱音あかねの妹が来たり。現在は連絡を引き続きしている。大人たちにはほとんど終わり、今は子供たちに連絡している。といってもそんなにいない。だが、


ひいらぎの家には...いいかな。」


今家に誰もいないだろうし。葵衣あおいもまだ帰っている途中だろう。そして何より、連絡したくない。


そういえば。葵衣あおいから朱音あかねの手紙をもらったっけ。



手紙には...

僕のことが好きだったこと

誕生日が近いからプレゼントを選んだこと

わざわざエメラルドの指輪を選んだこと

かける君のことで葵衣あおいと喧嘩したこと

などが書いてあった。


でも...なんでだろう。なんかおかしいと思ってしまう。いつもは...恥ずかしいから手紙を書いて、プレゼントと渡す。それは良い。いつも通りだ。だがいつもプレゼント関係の話で終わっていた気がする。


それが急に姉妹喧嘩しましたと書くだろうか?


...だめだ...思い出せない。なんせもう十年も経とうとしているのだ。記憶がなくて当たり前だ。だがそれでも...おかしい点はある。


指輪が入っていると言っていた箱を開ける。

すると綺麗な緑色に光る指輪があった。


それを見ながら


「これを買う為の金はどこから...?」


と、呟いた。

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