第2話
「どうぞ座って。」
そう言われ、担当の医者の前にある椅子に掛ける。
「それでどうなんですか?
「まぁ、そんな慌てるな。物事には順序というのがあるのだろう?」
「まぁ、そうですね...」
「とりあえずだね...。レントゲンで撮ったものは...」
「はい...。はい...。」
また同じような長い話を聞かされているので、もう聞きたくない。適当に色々反応しながら、変わっていることはないか聞く。
「...とりあえず。これからのことなんだけど、もう検査はしないよ。意味ないからね。あとはこの病院にいてもらって構わないから。」
「あの...お金は...。」
「あぁ。そこも気にしないでいいよ。とりあえず君には安静にしてもらって、回復に専念してもらう。」
「はい。...ありがとうございました。」
車椅子を動かし、診察室から出る。
「大丈夫だったんですか。まだ言っていないこともたくさんありましたけど。」
「あぁ、大丈夫だ。そもそもあんな小さな子に全て教えて何になるんだ。現実はあまり見せてあげない方があの子の為じゃないのか。」
そんなことを会話している声が扉の前にいるだけで聞こえた。
自分で車椅子を漕ぎながら病室に向かう。自分で車椅子を動かすのはできなくはないが、慣れた手つきではないので、自分の病室に帰ってくるのにも一苦労だ。頑張ってベットに乗り、一息つく。考えたことは一つ。疲れた。
ベットの脇から、自分の荷物を取り出す。出したのは、ずいぶんと軽いノートパソコンと、飲みかけだったお茶が入ったペットボトル。ノートパソコンを開き、起動中にお茶を飲み干す。
ノートパソコンから、友達に連絡をとってみる。時刻は昼を過ぎたあたり。学校に行っている友達は反応出来ないから、大人たちの方に連絡を。
「お久しぶりです。元気ですか?」
「あぁ元気。そっちは?」
すぐに連絡が返ってくる。きっと暇なんだろうな。
「生憎と。」
「そうか。で?なんかあるからそっちから連絡したんだろ?」
「はい。さっき医者から、ずっとここにいても大丈夫と言われたので。もうそちらにお世話になることもないと思うので。」
「そうか。寂しくなるな。一応他の世話になったところにも流しておくな」
「ありがとうございます。助かります。」
「とはいっても、病院でずっと一人なのは暇じゃないか?なんか持っていってやろうか」
「そう言って、あなた前にトランプやオセロ置いて、一緒に遊ぶことなく帰っていったじゃないですか。」
「大丈夫だろ。次はちゃんと一人用の遊び道具だ」
「一緒に遊んでくれるんじゃないんですね。」
「当たり前だろ」
そんなやりとりを
「どう...して...?」
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