第2話
こうして小学生3人組が夏休み使って友達を救いに行ったんだけど・・・。
風神様っていったいどんな伝説を残したのか。
彼らと一緒に調べていこう。
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「それで・・・これからどうするの?」
目が真っ赤になった澪が聞いた。
「そうだね、まずは彰良のおじいちゃんが言ってた話を詳しく聞こう。そしたら何かわかるかもしれない」
「わかった、じいちゃんにお願いしてみる」
2日後、彰良の家に行った。
「おーい、優希!澪!こっちこっち!」
裏庭に案内されるとそこに彰良のおじいちゃんがいた。
「じいちゃん、俺の友達来たよ!こっちが優希でこいつが澪」
「おじいさん、こんにちは」
「おお、よく来たなぁ」
白髪で少し痩せこけている優しそうな人だった。
「じいちゃん、前話してくれたことを友達にも話してよ!」
「あぁ、そうだな」
深く息を吸い、話し始めた。
この町は風神様が守ってきた。
それは君たちも聞いたことがあるだろう。
昔、この町にやって来た大土蜘蛛を風の力でバラバラにして封印したのが風神様なんだ。
「やっぱ、風神様ってすげぇ力持ってるんだよな。それでもう一個の話って?」
そうだね…
風神様がなぜ怪物と呼ばれてるか?
その風の力に人間たちが恐れてしまったからか?
違う、風神様は本当に人間を喰ったからだ。
伝承には穏やかな目が赤く染まる時、風神様は無我夢中で様々なものを喰らうという。
そして満腹になった風神様は洞窟の中に入り、奥底の祠で眠っているという。
「…」
僕たちは息をのんでおじいさんの話を聞いた。
その時
「みんな~、お茶とお菓子持ってきたわよ」
彰良のお母さんがお盆をもってやってきた。
「お!母ちゃんありがと!」
「ありがとうございます、いただきます」
キンキンに冷えたウーロン茶、しょうゆ味の煎餅と棒アイスを持ってきてくれた。
「おじいちゃんの話、面白い?」
僕は返事をした
「はい、風神様について調べているので非常に参考になります」
「そう、ならいいけど。私にも何度も話したらしいけどまったく覚えてないのよね…」
えっ
おじいさんの方をみると寂しそうに遠くを見た
もしかしてこの話も…
それじゃ話の続きをしようか…
優希君は少し気づいたみたいだけどね。
この伝承にはまだ話がある。
それは風神様が祠に入る前に言い放ったことだ。
「我を毎年たたえあがめよ、そして50年に1度我に若き人肉を捧げよ」
村人はおそれた。生贄を差し出さなければ…。若い者…。
ちょうど小学生くらいの年の子供が4人いた。そうだ、ここから一人…。
そして、一人捧げられた。風神様はこの町から生贄の記憶を消した。
3人の子供を除いて。
彼らは捧げられた1人の記憶を消すことができなかった。風神様の力をもってしても。
「…いまだに理由はわからん。わしも同じ体験をした。君たちもそうなのだろう?」
僕たちは無言で頷いた。
「…そうか。悪いことは言わん。彼のことは諦めてくれ」
やっぱり止められた。
「わしも…友を助けに行ったんだ。わしら3人組で…風神様のいる祠まで行ったんだが…」
そこで口を閉ざした。
「じいちゃん、頼む。教えてくれ!!あの時何があったのか!!」
「お願いします!このままだとチョコが…チョコが…」
「僕からもお願いします。助けたい友達がいるんです。おじいさんの話が大切なんです!」
僕たちは必死にお願いした。
「そうか…。正直止めたいが無理だろう。わしが知ってることを全部伝えよう」
おじいさんは目を瞑り、語りだした。
50年前、わしは…
友人たちと4人組で過ごしてたんだが…
君たちと一緒だ。大事な…大事な友人が消えた。
例えるなら…蜃気楼だな。
昨日までいたんだ、間違いなくそこに。
だが彼は急にいなくなった。
欠席ではなかった、席ごと…いや存在ごと消えていた。
わしらはどうにかして彼を救いたかったが…無理だった。
風神様に会ったんだ。
「…!!」
風神様と会った。その言葉に全身に悪寒が走った。
体の芯に響く声、圧。
姿を見なくてもわかった。
これが…風神様。
今でもこの感覚は覚えてる。
このままではわしたちも死んでしまう。
気づいたときには家に帰り、夏なのに寒気が収まらなかった。
「…ここまで聞いても君たちは行こうというのかね?」
蝉の声が響く。
怖い、そんな話を聞いて行きたいと普通言えないだろう。
だけど。
「…行きます」
「…そうか」
行かないと。
僕は、僕たちは友達を見捨てて生きていけない。
「ごめん、じいちゃん」
「いや良いんだ、上手くいくといいな」
そう言ってぬるくなったウーロン茶を飲んだ。
「おじいさんが風神様とあったのはどこですか?」
「…あの山だ。護像神社が建っているあの山。あの奥に洞窟がある。烏羽穴って呼ばれてるところだ」
烏羽穴、その奥に圭はいるのか…?
まだ夏休みは始まったばかりだ。
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