ソロ百物語
久世 空気
第1話
配信開始。
21:00
「はい、皆さん、こんばんは~。
ま、だいたい1話3分くらいで、途中に休憩入れると3時過ぎには終わる予定なんで、寝たい人は途中で寝ていいよ。
おお。頑張るってコメントくれる人多いね。
あ、メメンちゃんはね、寝不足は美容の大敵だって、今日は実家に帰っちゃった。いや、捨てられてねーし。ラブラブだわ。
え、そうそう。今日は1人。怖いけど、やるぜ~。
99個怖い話集めるのめっちゃ苦労したわ。ネット小説とかも使わせてもらうことになっってるんで、作者のサイトとかTwitterは概要欄にまとめて書いておきました。興味ある人は見てみてね。
ん? 百物語は99話するのが様式美だろ! じゃ、はじめまーす! 第1話! ・・・・・・」
21:03
「・・・・・・はい、じゃあ、蝋燭消します! これね、俺が作った百物語用の蝋燭消すアプリ。百本蝋燭用意するの面倒じゃん? 火事とか怖いし。これ使ったらね、スワイプするたびに蝋燭消えるの。蝋燭を消すと、徐々に明かりが暗くなる設定。無料だから皆ダウンロードしてね。ま、百物語にしか使えないけど。じゃ、続けまーす」
22:08
「・・・・・・はい、ちょっと休憩。喉カラカラ。エナドリチャージするわ。
コメント読むね。えーっと、『廊下に人影が見える』? いや、脅かすのやめてよ。俺一人なんだってば。
あ、新規さんこんばんは~。今ちょうど20話目ね。順調順調。
えっと、早口? 判った、もうちょっとゆっくり読むわ。ではでは、21話目再開!」
22:56
「・・・・・・ドア、勝手にしまったね・・・・・・。びびったわ。メメンちゃん帰ってるかもしれないからちょっと見てくるね。・・・・・・いや、誰もいなかった。考えてみればチェーンしてるから帰ってくるときはラインくれるはず。
怖いからコメント読みます! 『まだ起きてるよ! がんばれ~』ありがとう! 『ドア閉まる前、廊下で何か光ってなかった?』・・・・・・それはね、俺も実は気づいてた。今、玄関確認行ったときについでに見たけど何もなかった。
百物語って百個話する前にも何か起こる? そうなんだ。やべぇ。よし、エナドリチャージして続けるわ。次40話目ね!」
23:41
「今、チャイム鳴ったね。メメンちゃん帰ってきたのかな。ちょっと待っててね。
・・・・・・誰もいなかったんだけど・・・・・・。うちだよね? んー。気のせい! 気のせいってことにしておこう!
『女の人の声が聞こえる』? そんなはずないって。一人だって。わざと俺を怖がらせようとしてない?
というわけで、とうとう折り返し地点ですね。エナドリチャージして、51話!」
24:02
「深夜過ぎたね。みんな元気?
コメント読むね。『カンカンって音しない?』・・・・・・窓がね、ずっと鳴ってんのよ。虫という可能性を俺は信じてるんだけどね。
『眠い、離脱』 OK、OK。お疲れ~。えっと、エナドリ切れたから、ちょっと取りに行ってくるわ。
・・・・・・え? ちょっと待って。床濡れてるんだけど。違う! 漏らしてない! 拭くから長め休憩! 皆、トイレ行ってきていいよ~。漏らさないようにね! 俺は漏らしてないけどね!」
2:09
「はい、80話目終了したところで、だいぶ人が減ってきたね。あ、ここに来てご新規さん? ありがと~。俺は、めっちゃ目が冴えてるよ。昼寝しまくったからね。
さっきまで変な音がしてたけど・・・・・・。え? 照明消えかけた? 今、判った? 一瞬光が弱くなったよね? いや、カーテンとかかかる位置じゃないんだよ。えー・・・・・・。
エナドリ飲むわ。そうそう、エナドリ最強。元気があれば何でも出来る! 後19話、元気出していきましょう!」
3:28
「・・・・・・っと、言うわけで、百物語完走-!! いえーい! おおお、コメントの流れが速い! ありがとう! っていうか意外と残ってくれてるね! あ、仮眠とって戻ってきてくれたの? サンキュー! ちょっと予定時間過ぎちゃったけど、皆、見てくれてありがとう!
え? Twitterのトレンドに上がってんの? やばっ! 『途中で怪奇現象起こったのも含めたら100話超えてるから気をつけてね』 あれ入れるの? めちゃくちゃ怖いじゃん。眠れないからこのまま編集作業するわ。はい、おやすみ~。どんどん人が減っていく。『フリートークつまらん』とか言うな! 知ってる! お疲れ~。おやすみ~。明日はまたメメンちゃんと動画あげるからよろしく~。うん、メメンちゃんにメイクで目の下の隈消してもらうわ。では切りまーす。お疲れ~」
配信終了。
KWAIは配信を切り大きくのびをした。不思議と眠くはないし、疲労感もない。エナジードリンクの空き缶を集めながら、部屋の外に向かって声を掛ける。
「メメンちゃん終わったよー。お疲れー」
彼女から返事はない。特に気にせずKWAIは部屋を出た。
「タイミングめっちゃ良かったよ。視聴者さんも信じてたし」
いると思っていたリビングに彼女の姿はない。
「え? もう寝ちゃった?」
動画配信の癖で大きな独り言が漏れた。その時風呂場でカタンと音がする。シャワーでも浴びているのかとKWAIは風呂場に行きながら話しかける。
「そういえばチャイムってどこから鳴らしたの? 外で鳴らしてると思ってたけど、チェーンかかったままだったから・・・・・・」
話ながら、KWAIは風呂場のドアを開けた。
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ソロ百物語 久世 空気 @kuze-kuuki
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