結果報告

 さて、警官が私の家を飛び出してから数時間が経過した。


 ジリリリリリリリリリリリリン・・・

 ジリリリリリリリリリリリリン・・・


 あの黒電話が鳴る。


「はーい、もしもし?」

「あ、小山さんですか。特殊詐欺対策科の・・・」

「あーはいはい、さっきはどうも」

「先ほどの内定の結果なんですけど・・・」


 どうやらあそこはアジトではなかったらしい。

 あの部屋には受け子のあの男だけが住んでいたようだ。

 ボスの事を聞いたが、SNSで誘われてやったと供述しているようだ。


「・・・というわけです」

「そうですか・・・ところで、200万円の方は?」

「それなんですが・・・」


 なんと、警察が踏み込んだ時点で、アタッシュケースは空だったというのだ。

 どこかに隠したのかそれとも指示役に途中で渡したのか・・・

 今のところわからないという。


「まあ、私の200万円が無かったのはわかりました。それじゃあ、補填はしてくださるんですか?」

「はい、必ず致します。ただ、すぐにご用意という訳には・・・」


 わかりました。とだけ返事をし、電話を切る。


 ケースに発信機ではダメなのか。

 指示役摘発のためには、現金の動きを把握しなければいけないとでも言うのだろうか。

 無理じゃね?



 いずれにせよ今回は失敗したわけだ。

 歯ぎしりをしながら電話の近くをうろうろして、今日は思いきって寝ることにした。


 俺の諭吉・・・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る