追跡。

 喫茶店から私の家に戻り、刑事さんと共に発信機を追う。PCを覗き込み、位置情報を確認した。


「この速さは、、、電車ですね」

 そりゃあ駅前で待ち合わせたからそうなんでしょうけどね。

 あのいかついケース持って電車に乗ったら目立つだろうな。


 しばらくすると、動きがゆっくりになった。


「今度は・・・歩いてるようですね」

「アジトが近いのでしょうか」


 その後30分くらい追跡すると、発信機がぴたりと動かなくなる。

 いよいよアジト判明といったところだろうか。

 胸が熱くなってきたところではあったのだが・・・

 ケースの発信機が止まったその場所を調べてみる。

 どうやら工場地帯にある空地のようだった。

 この場所になにか隠れられそうな物があるような情報も無いようだ。


「見失ったんですか?」

「いや、まだわかりませんよ」


 もしや詰んだのではあるまいか。

 万一ケースを捨てられたなんて事になれば全てが終わる。

 そんなことを思っている矢先であった。


「あ、動きましたね」


 また発信機が動き出す。

 今度もなかなかのスピード。


 今度は・・・車ですか。

 まさかスケートボードではあるまい。


 10分程度後。また発信機が停止する。

 今度は郊外にあるアパートが立ち並ぶ地区のど真ん中だった。

 今度こそ大当りの可能性が出てきた。


「よし!間違いない!それではこれより現行犯確保して参ります!」


 威勢よく言い放ち、警官は部屋を後にした。

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