協力して頂けませんか?
何か言い忘れたことでもあるのかな。
「もしもし、小山ですけど」
「あ、小山さんのお宅ですか?私、警察署の特殊詐欺対策科の者です。今、小山さんのお住まいの地区全体に、オレオレ詐欺と思われる電話が相次いでいるという情報がありました」
やはりそうか。
「ああ、実はついさっきその電話を受けていたんですよ」
「え!なんですと!被害には遭われておりませんか?」
「ええ。大丈夫です。」
あれに引っ掛かる奴が果たしているのだろうか。
「そうですか、、、それは良かったです。」
謎に安心してもらえたようだ。
すると、いくばくかの沈黙の後、こんなことを言う。
「でしたら小山さん、ちょっとご協力頂きたい事がございまして、、、」
「協力?何をです?」
「ええ、ですから・・・」
電話口の警察署員の話によれば、こういった事件は、たいてい、お金を渡してから発覚する場合が多く、犯人との接触に成功した事例が少ないとのこと。
よって今回は、上手く犯人をおびき出せれば、こういった特殊詐欺撲滅に一歩近づけるかもしれない、というのだ。
また、受け取りに来る人間は、たいていバイトと称して雇われた人間が多く、これを逮捕してもあまり意味がないという。
よって今回は、封筒に発信機を付け、持ち帰った先であるアジトを特定する作戦をとるらしい。
「要求額はいくらですか?」
「全額で2000万円ですが、今日のところは手付けで200万円渡すことになっています」
「200ですか、、、多いですねぇ。ちょっと今日中に警察では用意できかねるのですが・・・」
何じゃそりゃ。
まあ、200万円でこういうくだらない詐欺撲滅に貢献できるなら・・・
「わかりました。お金はこちらで用意します。警察さんは封筒と発信機の準備をお願いします」
「本当ですか!ありがとうございます。ご協力感謝します。それではよろしくお願いします」
「わかりました。用意してきます」
お互いの連絡先を交換し、私は急ぎ銀行に向かった。
警官とはカフェで落ち合う予定。
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