電話の向こうに。
いつも通りの感じで電話を取る。
「もしもし、小山です」
「お父さん!僕だよ僕!」
いや、誰だよ。俺独身だぞ。
「僕のこと忘れちゃったの?」
だから誰だよ。
ボケてみるか。
「もしかして・・・」
「うん」
「太郎か!!?」
「そうだよ太郎だよ!思い出した?」
なんということだ。いまどき太郎とは、、、
じゃなくて!
俺は独身だっつの!!誰だ貴様。
ボケ、続けるか。
「どうしたんだ太郎」
「実は俺、交通事故を起こしちゃったんだけど・・・」
話によれば、太郎はどうやら、前方不注意でセンチュリーに追突したらしい。
いわゆる黒塗りの高級車ってやつだ。
不幸にも、中に乗っていたのが暴力団関係者だったらしい(名前は山岡と名乗っていたそうだ)
「・・・っていう事で、それでお金を請求されちゃってさ。修理代だって」
「2000万円」
「は?」
いやいや、新車のセンチュリー買える値段ですよそれ。
「そうか、わかった。ただ、大金だからすぐには用意できないぞ」
「とりあえず今日中に手付けだけでも納めれば納期は許してもらえると思うんだけど、今からならいくら用意できる?」
「200くらいなら」
「わかった。ありがとうお父さん!ただ、僕この後仕事なんだ。15時くらいに僕の後輩をそっちの駅に向かわせるから、」
「おう。わかった。お父さんに任せとけ。」
ツーっ ツーっ ツーっ・・・
さあ大変だ。すぐにATMに、、。
いくわけあるか!!!
危ない危ない。
冷静になれ。俺は独身じゃ。それにいくらなんでも子供に太郎とは名付けんわ。多分。
それに、後輩を庇うのは三浦の仕事じゃ無いのかよ。
こういう電話はさすがに初めてでちょっと緊張したけど、特に被害は出なさそうだしな。
無視するか。
と、落胆したその時である。
ジリリリリリリリリリリリリン・・・
ジリリリリリリリリリリリリン・・・
また電話が鳴った。
今度は警戒して電話に出よう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます