第18話 大金を稼ぎ、巨乳妹キャラを仲間にする

「おい……正気か……? こんなプリティな女の子がこんな危険なクエストを受けるってのか……?」


 あれだけバカ笑いしていた荒くれ者がドン引きしていた。


 Aランククエストは、名だたる実力者が揃ったパーティーでなければ攻略出来ず、死ぬ危険性も非常に大きいからだ。


「も、もちろん、ツクモさんのサポートがあってこそ、ですよね?」


 受付嬢はそう尋ねたが、俺は首を横に振った。


「いいや、命の危険がない限り、俺は見守るだけに徹する。必要以上のことはしない。クエストを攻略するのは、あくまで彼女だ」


「ふざけるな! こんな子供が受けていい依頼じゃない。あの竜の勇者ジャジャのパーティーですら失敗した依頼だぞ!」


 荒くれ者は真剣な表情で俺に言った。


 少なくともこの怒りには、正当性がある。


 が、ビアンカの実力を知らないがゆえの発言でもあった。


 そして、実際に、ジャジャのパーティー唯一の生き残りが残した記録をよく吟味し、攻略が十二分に可能であると俺は判断していた。


「このビアンカには、このクエストを攻略できるだけの実力がある」


「ツクモ先生……」


 ビアンカは、そうつぶやいた。


 そして、よしっ!、と大きな声で言った。


「わたし、受けるよそのクエスト! なにせツクモ先生の教え子だからね! 私なりに頑張ってみるよ!」


「で、でも……」


 受付嬢は心配そうだ。


「分かってるって! 危なそうならピンチになる前に絶対に逃げるよ! ね、お願いします!」


 色々あったが、なんとか依頼を受け付けることが出来た。


 そして、帰り道で俺はビアンカに言った。


「大丈夫、これまでの授業で教えたことを守っていれば攻略できる」


「うん! ちゃんと見ててね先生!」


「ああ、もちろんだ」


 そして、ビアンカの初めてのクエスト攻略が始まった。


「それじゃあまずは、受けるクエストの情報が知りたいから調べられる場所はあるかな?」


 ビアンカは俺に尋ねる。


 ファーストステップは合格だ。


 基本情報を調べるのは基本中の基本だ


「2つある。一つは資料館。ここにこれまで冒険者が集めた情報が網羅されている」


「じゃあ、もう一つは?」


「勇者パーティーの生き残りに尋ねる方法だ。すでにその人は詳細な記録を残してるが、話す価値は0ではないな」


「なるほどね……よし! まずは資料館に行こうかな!」


 ビアンカはそう決断した。


 そして、俺の案内のもと、資料館にむかうのであった。


***


 ビアンカは、詳細な記録のもと、ダンジョン内のトラップ、モンスターに対して、どう対策すればいいかを読み解く。


 紙に書き取り考え、ときには別の資料から参考になるものを読み込み、着々と戦略を組み立てていった。


 その結果、一通りの対応策が出来上がる。


「うーん、一応出来たけど……」


 確かに対応内容はまあまあ上出来だったが。


「資金が結構いるんだよねぇ」


 すべての対策を実行したときにかかる金額は金貨10枚。


 普通の人だったら3年以上は暮らしていけるような金額だ。


「せんせっ……!」


 甘い声、上目遣いで、ビアンカは俺におねだりした。


「金貨10枚、ちょーだい……♡」


「だめだ」


「ケチンボ!」


 無論、そういう自体は想定済みだ。


「銀貨5枚だ」


「……もしかして」


 察するビアンカに、俺は言った。


「後はどうにかして、自分で稼ぐところから始めるんだ」


 俺はビアンカにそういった。


 これがもし、普通の子供相手だったら不満な態度を取るだろう。


 しかし、ビアンカは違った。


「面白そうじゃん! わかったよ先生!」


 そう言って、商売の準備に取り掛かるのだった。


***


 ビアンカはまず元手の銀貨を握りしめ、街にある商店を歩き回る。


 小さな店から大きな高級店まで並んでいる。


「何かいい感じのヒントないかなー?」


 キョロキョロと、周囲を見回し、ときには気になる商品を手に取りながら、色々探し回る。


 そして、一見の武器屋に訪れた。


「らっしゃい」


 無骨そうな店主がカウンターにおり、棚などに色んな剣や槍などが並んでいた。


「色々見てもいいですか」


「お好きにどうぞ」


 ビアンカは商品を見回した。


「おぉ、これは」


 ビアンカは一つの剣を見つけた。


 魔法が付与された魔法剣だ。


 値札には銀貨500枚と書かれている。


 金貨一枚で銀貨1000枚が大体の相場なので、この剣一つで、金貨の約半分ほどの値段になる


「これってどんな剣なんですか?」


 ビアンカは尋ねた。


「これは火の魔術が付与されたフレイムソードだ。刀身に火をまとわせ、相手を焼き切るすぐれものだ。熟練を要するが、ファイアスラッシュという火の斬撃も飛ばすことが出来る」


 店主は俺に顔を向け、言った。


「買いますかい、旦那」


「俺はただの連れだ。決めるのはこの子だ」


「おっと失礼」


 店主はそう言って、ビアンカに顔を向けた。


「悪いな嬢ちゃん」


「いいって、わたしが剣を持つなんて普通思わないって!」


 ビアンカは機嫌を崩すことなくそう言って笑った。


 そのビアンカの態度が気に入ったのか、「ちょっとまて」と言って、木箱から別の剣を取り出した。


「せがれが作ったショートソードだ。武器としては物足りないが、嬢ちゃんには扱いやすいはずだ。……これでも銀貨7枚なんだが、破格値の5枚でどうだ?」


「え、いいの!? ありがと!」


 そう言って、ビアンカはショートソードを手に取る。


「よおし、剣でするのは初めてだけど……」


「ん? 何してるんだい嬢ちゃん」


 ビアンカは目をつむり、ショートソードの刀身に、手の平を当てる。


 そして、剣に魔力を通した。


「属性付与」


 詠唱し、10秒ほど経った。


「ふう、いい感じに成功したんじゃないかな。どうかなツクモ先生?」


「ああ、見事な魔法剣だ」


 俺はビアンカのショートソードを見てそういった。


 店主は、ビアンカのショートソードを見た瞬間、目を見開いた。


「こ、これは?! 火属性が付与されてるファイアショートソードになってるだと……?! 銀貨300枚はくだらねえ値段の武器じゃねぇか!! しかもこんな短時間で付与したっていうのか……!!」


 属性付与が出来る魔法使いは数が限られる上、付与する時間は数日以上だ。


「すごいでしょ、先生に教えてもらったんだ!」


 属性付与は本来であれば、小学生(エレメンタリー)の授業ではやらない科目だ。


 そして、俺自身は属性付与のさらなる可能性に目を付け、研究し、今ある属性付与の技術のすべてを覆しかねない最高効率の作製技術を手にした。


 正直、世に出すつもりは無かった。


 ただ、俺自身はその技能をもっているのに、今の彼女たちに教えないのはもったいないと考え、一通りの手順を教えていた。


 そして、4人の中で、属性付与の能力を最も伸ばしたのが、ビアンカだった。


「ねえ、私の技術を買わないかい?」


 ビアンカは店主に言った。


 店主は鼻息を荒くし、紙やペンなどを急いで取り出した。


「す、すぐに契約書を用意するから待ってくれ!」


 どうやらうまくいきそうなので、ビアンカはにっこりした顔を俺に向けた。


「よかったな」


「うん!」


 俺はビアンカの頭を撫でるのであった。


「えへへ! くすぐったいよ」


 そんな様子で喜ぶのであった。


***


 ビアンカはたくさんの武器や防具に対して属性付与を行い、出来上がった武器を納品した。


 その武器はどれも高品質のすぐれものと評され、飛ぶように売れた。


 その報酬として、目標であった金貨10枚は余裕でクリアした。


「よし、これで準備資金は完璧! あとは……」


 そう、まだすることがある。


「今の計画に問題がないか、勇者パーティーの生き残りの人に話をしよう!」


***


 酒場に来た。


 目的の人物がここにいると聞いたからだ。


 そしてその相手はすぐに見つかった。


 テーブルに、男と少女の二人組み。


「ねえ、お兄ちゃん! もう酒に入り浸るのはやめてよぅ!」


「好きにさせてくれてもいいだろ! 僕は最低な人殺しだよ!」


 男のほうは大量の酒を飲んでいるのか顔を赤くしていた。


 そして、背は低いがとても豊満な胸があるその少女は、兄と呼んだ男の腕を引っ張って、お酒を飲ませないようにしていた。


「悪いのはあの頭のおかしい勇者でしょ! お兄ちゃんは全然悪くないよ!」


「うう、それでも……あんなことするつもりじゃ……うう……」


 グズグズ拗ねる男に、俺から話しかけた。


「あの勇者ならおそらく生きてるだろう」


「?! あなたは?」


「俺はツクモ・イツキだ」


「……ツクモ・イツキ……もしやあなたがあの勇者パーティーの……」


「そのとおりだ。あなたはキッシュさんであってますか?」


「ええ、そうです」


 キッシュは自嘲気味に、笑う。


「何かようですか? それに、あの勇者が生きてるってどうゆうことですか? 慰めならやめてくださいよ。あんな状況で生きてるわけありません」


 記録には、勇者ジャジャはキッシュに助けを乞い、帰還アイテムを渡せと命じたがそれを拒否。


 キッシュはジャジャを蹴り飛ばし、帰還した。


 帰還アイテム自体、一人だけにしか使えないアイテムなので、そうなっても当然仕方ない。


 普通ならもう勇者は死んだものと考えるだろうが、俺の考えは違った。


「まあ、そう思うのも無理はないが、その程度のことであのジャジャが死ぬとは到底思えない」


「あんなバカでも、ですか?」


「あんなバカだからこそだ。どんなバカな真似をしでかしたのかは推測するしかないが、あの程度の状況なら俺ですら突破可能だ。ならジャジャにも突破出来ても不思議ではない」


「ええ……どんだけあのジャジャを信頼してるんですか……? どこに信頼できる要素があるんですか……?」


 と、色々話したが、本題から逸れそうだったので、話を戻した。


「ビアンカ」


「はい、これ、お金」


 ジャラジャラとお金の入った小袋を渡した。


「これから北のダンジョンを攻略しようとしてるんですよ。ですので、わたしの攻略の計画を見てほしいんです。その上で実際に潜ったことのあるキッシュさんにアドバイスを頂きたいんです。お願いできますか?」


 キッシュは、少し考えた。


「でも僕は冒険者から身を引こうと……」


「引き受けてあげてよ、お兄ちゃん」


「ロイ……」


 どうやら妹の名前はロイというらしい。


 妹の懇願する目を見て、キッシュは決心した。


「分かりました。やりましょう」


 キッシュは酔い醒ましの薬を飲んだ後、ビアンカの計画表を見た。


 一つ一つ丁寧に見て、的確なアドバイスを出した。


「これなら、クリアできそうです」


「ありがとうございます!」


 キッシュからのお墨付きを頂いたビアンカは大いに喜んだ。


「でも正直驚いた。この作戦を君が立てたなんて……」


「いいや、先生が授業で教えてもらった通りにしただけだよ」


「なるほど、ツクモさんが……いい先生をもちましたね」


 俺は彼女たちの授業で、確かに準備することの大切さやダンジョンの攻略法なんかを伝えていた。


 それを自分のものに出来ているビアンカも相当にすごいことだ。


「ビアンカさん」


 そして、キッシュはビアンカに言った。


「あと、この荷物の量だとポーターが必要になります」


「ポーター引き受けてくれるんですか?」


 キッシュは首を横に振った。


「僕はもうする気はありません。ですが、ここには駆け出しですが、ポーターが一人います。……ロイ」


「うん!」


 キッシュの妹、ロイが、豊満な胸を揺らしながら俺たちに自己紹介した。


「キッシュの妹のロイです! まだ駆け出しですがポーターをしています! ツクモさん、ビアンカちゃん、よろしくです!」


 低い身長で、背丈はビアンカと大差ないものの、その巨乳は非常に大きかった。


 ブルンと揺れる様子を見て、正直すごい、なんて変なことを思ってしまった。


 咳払いしながら、挨拶を返す。


「ロイ、よろしくな」


「こちらこそよろしくね! ロイちゃん!」


 こうして、新しい仲間、ロイが加わった。


 そして、攻略に向けて着々と準備がすすんだのだった。



―――――――――――――――――――


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